円相場の着眼点はG20を経て日銀総裁人事へ向かう

円相場の着眼点はG20財務相会合を経て日銀正副総裁人事へ向かう
G20財務相会合前には異例とも言えるG7緊急声明が発表され、日本に対するバッシングが警戒されたがG20声明では日本に対する名指し批判は回避され、米ドル円のトレンドはドル高円安を維持している。日米首脳会談も然ることながら「大胆な金融緩和」を掲げるアベノミクスについてマーケットは次の着眼点を日銀正副総裁人事へと向けている。
G20は無難に通過
G20財務相会合が16日に閉幕した。今回はG20開催前に異例でG7緊急為替声明も発表されるなど、ユーロ圏の情勢が一服するなか、通貨市場では本年度に入って最初の政治色が濃いイベントとなった。

安部政権が発足し、初の通貨外交は米国や英国またIMFからのサポートもあり懸念された政策批判のトーンはさほど高まらず、まずまず無難な成果を得たと考えられる。しかし政府要人からの安易とも思えてしまう為替・株価水準の示唆発言については、お灸がすえられたとも考えられる。
週明け18日のアジア市場はG20声明で具体的な日本への批判が回避されたことや、安部首相が再度外債購入に言及したこともあり、円安へ振れる展開となっている。

日銀正副総裁人事は来週前半が山場か
G20は終了したが今週は、まだまだイベントが続く。

まず次に焦点になるのは今回のお題でもある「日銀総裁人事」だ。もちろんこれがどれ程重要性を増すのかは言うまでもないが、アベノミクスの「三本の矢」のひとつ円安、株高を支えているとも考えられる「大胆な金融緩和」が白川総裁の早期辞任が決定したなか、日銀の新体制の土台を固める大きな柱となる。
今週、安部首相が渡米をする21日以前の19~20日が絞りこみの山場になる可能性が高いと見られていたが、18日午後に菅官房長官から「日銀正副総裁人事を月内に提示」の発表を受け同意人事は日米首脳会談後の来週前半がポイントとなりそうだ。

日銀正副総裁人事は衆参両議会での同意が必要であり、衆議院は自民・公明与党の過半数以上の議席確保から同意は問題ないが、参議院はねじれ国会となっている為、自公与党に野党第一党の民主党と連携を取るか、第三極と言われた、みんなの党に加え維新の会との連携どちらかを選択しなければならないのが現状だ。

みんなの党は先週、日銀正副総裁について財務省OBは適さないと表明しており14日には有力候補とも考えられる黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)、武藤敏郎元財務事務次官両名の起用には反対する考えを明らかにしている。リフレ政策を全面的に主張する民間人、学者からの起用が望ましいとの考え方だ。しかし安部首相は正副総裁(総裁1名・副総裁2名)について生え抜き、有識者、財務省OBでバランスを取ろうとしているようでもあり、現状みんなの党の人事指針とはかなり離れていると言わざるを得ない。

先週15日、新総裁の絞りこみが最終段階にあり、武藤氏になる可能性が高そうだと政府関係者からのコメントが報じられた。参議院で自公与党がみんなの党と維新の会との連携を取らずに野党第一党である民主党と連携を取る場合、武藤敏郎大和総研理事長(元財務次官)を同意する可能性はどうであろうか。

現在、民主党は支持率の低下などで参議院では第一党の地位も危うい。昨年の衆議院選挙でも当初の公約から矛盾した政策を推し進めた経緯が国民からの支持を失墜さした感が強い。前回2008年日銀総裁人事で民主党は脱官僚を挙げ当時副総裁の武藤氏を総裁候補から否決している。
今回、武藤氏を指名同意した場合、矛盾が生じ再び民主党は国民からの非難を避けられないのではないだろうか。果たして武藤氏について可能性はあるだろうか。武藤氏は財務省OB総裁候補のなかでも過去の日銀政策には全般的に肯定的な考えを示しており、安部首相の目に果たしてかなうのであろうか。

安部首相が最終的に決定すると考えられる
日銀新総裁候補は、与党内はもちろんだが、参議院で野党との調整の問題もあるが、安部首相の意思意向が全面に出た最終選考になるのではないだろうかと個人的には考えている。

安部首相は18日参議院予算委員会でデフレ脱却に向けての強い意志を示すと共にその金融緩和の手法のひとつとして、外債購入という考え方もあるとの見解を示した。先のG7声明が発表された時「財政・金融政策で為替レートを目標にしない」と明記された為、日銀による外債購入は難しくなるとの見解が主流となった。

しかしG20声明においては、「競争力のために為替レートを目的としない」に修正となっている。微妙な解釈をどのように受け止めるのか充分考慮する必要はあるのだが、安部首相が外債購入について再びふれた背景にはG20声明を熟慮したうえ、やはり強力な金融緩和を望みたいとの強い意思が感じられる。

1月政府と日銀による共同文章協議のさなか安部政権が掲げる「大胆な金融緩和」の表現が「次元が異なる金融緩和」と安部政権内で表現された時期がある。大胆な金融緩和・機動的な財政出動・成長戦略がアベノミクス「3本の矢」だが、車に例えるならば「大胆な金融緩和」は片輪でもあると言っても過言ではないだろう。

マーケットが好感するのは
前述した通り正副総裁は国会同意人事となっている為、野党との連携が必要であり、そこには日銀人事以外も考慮した折衝、協議が必要となる。まず来週前半には日銀新体制下の顔、正副総裁も見えてきそうだ。現実的な候補の中からマーケットが好感するのは、安部首相の金融経済政策指南役とも言われている浜田宏一内閣官房参与(エール大学名誉教授)も推薦している岩田一政日本経済研究センター理事長(日銀元副総裁)か黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)ではないだろうか。