日銀総裁人事を受けての円売りは一時的

リスクオフのリスクを警戒しつつ、ドル買い・円売り継続
2月入りしてから膠着気味の相場展開が続いてきたドル/円相場であるが、25日早朝の取引では一時94.77円を付け、新高値を更新した。足元では93円台後半まで上げ幅を削る展開になっているが、ドル買い・円売り基調は継続中であることが再確認できる。

最大の相場変動要因になったのは、日銀総裁人事である。25日付けの日本経済新聞によると、政府はアジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁を白川総裁の後任とする人事案を固めた模様だ。また、副総裁には岩田規久男・学習院大教授の名前が挙がっている。黒田ADB総裁は財務省出身だが、これまで日銀の政策を強く批判してきており、積極的な緩和論者として知られている。また、岩田教授も「リフレ派」を代表する経済学者であり、安倍政権の脱デフレ政策は新体制の下で強化されることはあっても後退する可能性は低いだろう。

事前にマーケットで名前の挙がっていた岩田一政・日本経済研究センター理事長などと比較して、特に緩和期待の強まるような人事案ではないものの、安倍政権の脱デフレ政策が着実に進展していることを強く印象付けるものであり、円高リスクは限定されている。

足元では、イタリア総選挙、米歳出削減協議の期限などを控えてややリスクテイクに慎重姿勢が見られるが、リスクオフからの株安・円高リスクはそれ程大きくないとみている。仮に、これらのテール・リスクが顕在化した場合にはユーロ/ドル相場に比較的大きな影響(ドル高・ユーロ安)が生じる可能性もあるが、日本独自の材料が円高圧力を抑制するとみている。

もっとも、日銀総裁人事を巡る思惑を背景としたドル買い・円売りが続かなかったように、ここからのドル高・円安ペースは緩やかなものに留まる。26日のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言で米金利が急伸するような展開があれば別だが、財政問題の期限を控えた中で、米国債売りの動きが加速する状況にもないだろう。

日米2年債利回りなどからは、既に「行き過ぎた円高」を是正するステージは終わったとみており、ここからは日銀の実際の緩和姿勢、米金利動向を眺めながら、ドル/円相場の押し目を買い拾うスタンスで臨みたい。上値を買い進むステージは終わっている。米財政リスクが意識され易い今週末にかけて円高圧力が強まる局面があれば、改めてドル買い・円売りを仕掛けるべきだろう。

なお、ドル建て金相場は米金利横ばいもバランスシート政策の縮小・停止を織り込む動きが継続し、上値の重い展開に。中国・東南アジアの現物需要が下値をサポートするも、金上場投資信託(ETF)の換金売りに象徴される欧米投機筋の売り圧力が継続する中、本格反発のハードルは高い。上述のテール・リスク顕在化が反発シナリオになるが、その際は円高が円建て相場の上昇余地を限定することになる。