キプロス議会は預金課税を拒否?

 ~ユーロ圏とロシアとの板挟み?
キプロス救済の条件である銀行預金に対する課税の問題ですが、昨晩からの動きを簡単にまとめます。

昨日の欧州時間、キプロス政府は少額預金者の保護を目的として、10万ユーロまでの預金に対する税率の引き下げと10万ユーロ以上の預金に対する税率の引き上げを検討しました。そのためキプロス議会は預金課税に関する採決を翌日に持ち越すことと、それに伴って銀行の預金封鎖を延長することを決定しました。

NY時間、ユーロ圏財務相らは、キプロス政府・議会の動き、国民の強い反対、実施した場合ギリシャ、スペイン、イタリアなど他の国でも銀行預金の引き出しが急増する可能性などを考慮して、10万ユーロ以下の預金に対する課税をしない(10万ユーロ以上は9.9%を15.6%へ引き上げ)ことを容認しました。

これで今晩東京時間1時に予定されているキプロス議会が支援策(とその条件)の受け入れを決定するかと思われました。

しかし東京時間午後に「キプロス議会は預金への課税案を否決する見通し」と報じられユーロ売りが強まる場面がありました。もしキプロス議会がこの預金課税案を否決すれば、ユーロ圏からの支援を受けることもできなくなります。

ここで問題となるのは、、ロシアとの関係です。実はキプロスの銀行の総資産の約25%(200億ドル)はロシア関係の資金と言われています。そのため、ロシアはキプロスの銀行が破たんしてしまうことを防ぐため、これまでもキプロスを支援しています。もし今回の預金課税をキプロスが受け入れれば、ロシア関係の資金30億ドル以上が徴収されることになるのです。

現在キプロスはロシアから25億ユーロの融資をうけていて、この融資の返済期限の5年延長と金利の引き下げの交渉をしています。ロシア側は、キプロスの問題に関して「連携して行動することでユーロ圏諸国と合意していた」と述べていますが、今回の預金課税に関しては「ロシアとの事前の話し合いなしに決定された」としてユーロ圏に対して不信感をあらわにするとともに、キプロスに対する融資の条件見直しなどに影響がある可能性もある、としています。

キプロスはユーロ圏からの支援を受けるために預金課税を認めれば、これまで支援してもらっていたロシアとの関係が悪化するとともに、ロシア関係の資金が大量に流出するリスクがあるのです。一方でユーロ圏からの支援がなければ近い将来デフォルトせざるを得ないともみられていますので、ユーロ圏とロシアの板挟みにあっている状況です。

はたしてキプロス議会はどんな決定をするのでしょうか。