キプロス情勢が一服し、改めてファンダメンタルズ主導に

ドル建て金相場は、安全資産だけで買われていた訳ではない
ドル/円相場は、94~96円のレンジで揉み合う展開に。前週はキプロス情勢の進展状況に一喜一憂する展開となったが、週明けのアジア時間にキプロス支援策が大枠で合意されたと伝わった後も、ドル/円相場の大きな値動きは観測されていない。

キプロスが支援条件の大枠に同意したことを受けて、同国向けに100億ユーロの緊急融資への道は開かれ、少なくとも直ちにデフォルト(債務不履行)や銀行破たん、ユーロ離脱といった議論が行われる環境ではなくなった。概ねマーケットの想定していた通りの結果と言えるが、「万が一」の可能性も想定されていたことを考慮すれば、リスクマーケット全体の地合にポジティブな動きであることは間違いなく、キプロスリスクが円高圧力として機能していたドル/円市場では、当然にドル高・円安方向に振れ易くなる。

まだイタリアの政局不安などが残り、キプロスとその周辺国で取り付け騒ぎを回避できるのかなど不確実要素もある。ただ、これでキプロス情勢については一服した形であり、ドル/円相場は改めてファンダメンタルズ主導の相場展開に回帰しよう。

今週は3月最終週になるため、年度末の輸出入企業の需給動向が焦点の一つになる。例年だと、リパトリエーション(輸出企業の資金還流)がドル売り・円買いを促す傾向にあるが、今年は急激なドル高の影響でドル買い・円売り手当ての遅れが指摘されており、ドル/円相場に対してはややポジティブ材料との見方が強い。ここ数ヶ月の為替相場が大きく変動したことで、実際に輸出入企業がどのような動きを見せるのかは予測が困難だが、少なくともドル安・円高要因にはならないとの見方が一般的である。

一方、日本銀行の臨時会合が開催されるとすれば今週になるが、4月3~4日の定例会合まで時間が限られる中、大きな動きは見せないのがメインシナリオになる。焦点は、日銀が2%の物価目標に向けての道筋を描けるか否かに尽きるが、それが議論されるのは来週であり、今週中は日銀の追加緩和に対する期待感がドル/円相場をサポートしよう。

ドル安・円高シナリオとしては、これから月末にかけて発表が続く米主要経済指標の動向の方が重要とみている。3月26日に2月耐久財受注、3月消費者信頼感指数、2月新築住宅販売高、28日に国内総生産(GDP)などの発表が控えている。マーケットは強めの数値を予測しているが、仮に期待外れの数値になると日米金利差縮小から一時的なドル安・円高圧力となる可能性には注意が必要である。

さて、ドル建て金相場であるが、キプロス救済合意が伝わった後に若干売られる場面も見られたが、大きな値動きには発展していない。キプロス関連のリスクプレミアムが10ドル前後加算された状態にあるが、2月の急落要因となった米金融緩和政策の早期解除見通し、金上場投資信託(ETF)の大量換金売りなどのネガティブ材料が後退していることで、下値不安は大きくない。ドル、CRB商品指数、株価動向などを眺めながら、方向性に乏しい展開を想定している。1,595~1,620ドルがコアレンジに。

円建て金相場に関しては、ドル建て金相場の下値不安後退と円安圧力から、じり高基調の継続を想定。1グラム=5,000円の節目がターゲットに。