「キプロス問題を楽観視、上方の窓埋め」~黒岩の眼(夕刊) 

「キプロス問題を楽観視、上方の窓埋め」
 本日の日経平均は207.93円高の12546.46円で取引を終了した。朝方からキプロス合意を受けて買い先行となり、その後は上値を試す展開。お昼のバスケット注文でまとまった買いが入ったとの観測が出ると、後場に入ってから上昇幅を拡大させた。

 ただ、日経平均の日足チャートでは、上方の窓(12522.05円―12586.06円)を単に埋めただけ。「窓理論」の法則2の売りのパターンであり、弱気形状に変化はない。依然として12650円付近にファンダメンタルズの壁(割高の壁)が存在している可能性があり、これが上値を抑えるかもしれない。

 マーケットはかなり楽観的なムードに傾いている。「キプロス問題が合意」と伝えられたことで、安心感が広がっているからだ。「もともと経済規模が小さく、影響は限定的」とみられていただけに、予想通りの結果になってひと安心といった感じだ。
 だが、このキプロス問題。「完全に決着した」とみるのは時期尚早だろう。なぜならば、大口預金者のカット率が40%にも達する可能性があり、預金者からの猛反発が予想されるからだ。特にロシアからの資金流入が多く、ロシア政府の対応が気になるところ。「キプロス市民の預金は保護し、ロシア富裕層には課税」という方針が、うまく行くとも思えないのだ。今後も紆余曲折が予想され、決着には一定の時間を要するだろう。

 そして今回の「預金課税」という対応も、禍根を残すことになりそうだ。「他のユーロ導入国でも同様の措置がとられる」という連想が働けば、南欧諸国からの預金流出のきっかけになりかねないからだ。今は平静を保っているイタリア、スペインなどで預金引き出しが加速すれば、取り付け騒ぎが大きくなる。そういった大きなリスクを抱えることになり、そのような意味でユーロ圏は「良からぬ前例」を作ったと言えよう。

 もちろんこういったユーロ圏の混乱はシナリオ通りの内容。ユーロ圏を強固にするための準備運動みたいなものだ。将来的な「世界統一通貨」に向けて、ユーロは着実に歩みを続けている。ユーロはその準備通貨のひとつであり、結束することはあれど、基本的に崩壊はあり得ない。そういった“眼”でユーロを見る必要がありそうだ。本当にヤバイのはドルの方である。ドルは最終的に崩壊する通貨であり、その崩壊を避けるために米国は延命措置を続けている。日本の安倍政権はそのドル延命に協力しているのだ。TPP参加はその一例であり、近い将来、米覇権維持のために戦争をさせられるかもしれない。そのためにはどうしても憲法改正が必要であり、7月の参院選で3分の2の議席を確保しなければならない。アベノミクスはまさにそのためのエサなのである。

 週末の世論調査では、安倍内閣の支持率が69.6%と非常に高かった。民度の低いB層が景気回復ムードや株高に浮かれており、その後の副作用を一切気にしていないということだろう。参院選までバブルが継続すれば、自公が勝利し、憲法改正が実現する。同時に消費税増税が確定的となり、安倍政権は国民に対してキバを剥くことになるのだ。このとき政策がアメからムチへと劇的に変化するのである。投資家は相当、覚悟しておいた方が良い。