「売り先行、アベノミクスは煙幕」~黒岩の眼(朝刊)

「売り先行、アベノミクスは煙幕」
 昨日の米国株式相場は反落。ダウ工業株30種平均は64.28ドル安の14447.75、ナスダック総合指数は9.70ポイント安の3235.30となった。キプロス合意を受けて買い先行となったが、ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長が「キプロスは他のユーロ圏のひな型となる」と発言したことで、欧州の銀行株が一斉安。ユーロ安、株安へとつながった。シカゴ日経平均先物(円建て)は12375円付近での推移。したがって本日の東京株式相場は軟調なスタートを想定。再び下値を試すものと思われる。

 日経平均の日足チャートでは昨日、上方の窓(12522.05円―12586.06円)を完全に埋めた。窓理論の法則2の「上方の窓埋め」の売りパターンであり、弱気形状が継続していることを示唆している。本日は売り先行となることで、この弱気形状を踏襲することになる。寄り付きで窓を空けて下落すれば、その窓を大引けまで維持できるかがポイントとなる。

 そして本日は3・9月決算企業の権利付き最終日である。個人投資家中心に配当・優待取りの動きが強まり、売り一巡後は比較的しっかりとした値動きになりそうだ。

 その一方で明日は日経平均で約89円の配当落ちが予想されている。表面上ではチャート上に窓が空くことが予想され、弱気形状が継続する可能性が高い。近い将来、下方の2つの窓(11933.82円―11946.01円、11779.42円―11803.09円)を連鎖的に埋める可能性があり、その点を警戒しなければならない。

 そして昨日、衝撃の判決がなされた。広島高裁が昨年の衆院選の広島1区、2区を「無効」と判断したからだ。被告である県選管は上告する方針であることから、最終的な判断は最高裁に委ねられることになるが、この無効判決を受けて、国会では「一票の格差是正」が急務となるだろう。一部では「やり直し選挙」の可能性も指摘されており、「アベノミクス」に水を差すかもしれない。

 ただ、この一票の格差の問題は、先の衆院選前にすでに分かっていた問題。一部情報によれば、自民党執行部は最高裁と事前交渉を行い、「選挙は無効にしない」というお墨付きをもらっていたという。そのような意味で波乱の要素は少ないが、早期の定数配分の見直しなどは必要となるだろう。結果的に市場は「アベノミクス継続」を確認することになり、この問題での株価への影響は限定的となりそうだ。

 そして日経一面では「農地維持へ交付金」と題して、政府・与党がTPP参加に関連してバラマキ準備に入ったことを伝えている。政府の試算ではTPP参加でGDPが3.2兆円増加する一方、農林水産業の生産額が3兆円落ち込むという。試算に関しては様々な意見があるが、差し引き数千億円の経済効果を狙うために、農家に数千億円バラマキを行うのでは本末転倒だ。「誰のためのTPP参加なのか」――それが次第に明らかとなり、そのうち国民は気付き始めるだろう。「日本人のためではなく、アメリカ人のためのTPPなのだ」と・・・。売国政権は国民が覚醒する前に次の選挙を終えなくてはならない。国民・投資家を騙すアベノミクスは、まさにその煙幕となっているのである。