ダイセルブルーム・ユーログループ議長発言の衝撃

中長期的な材料となるか?
昨日の東京時間にはキプロス救済に関する暫定合意に達したことからリスク選好の動きとなりましたが、海外時間には一転してリスク回避の動きとなりました。

最初のきっかけはキプロス議会の金融委員会委員長パパドブロス議員が「キプロスのユーロ圏離脱の利益について検討する必要がある」と発言したことです。これまでユーロ圏などはキプロスがユーロ圏にとどまることができるように救済策を作ったのですが、それをひっくり返すような発言でユーロ売りが強まりました。

しかしその後報じられたダイセルブルーム・ユーログループ議長発言はそれ以上のインパクトのあるものでした。議長は「キプロスの銀行リストラ計画、そのほかのユーロ圏の前例とみなされるべき」「危機が後退した今、問題に対処するに当たりより思い切る必要がある」と述べさらに「(経営難の銀行が資金調達できない場合)われわれが株主や債権保有者と話して彼らに銀行資本再編への貢献を求める。必要なら預金保険対象外の預金者もだ」と述べたのです。

キプロスでは10万ユーロ以上(預金保険の対象外)の預金に関しては保護されず強制的に減額される見通しですが、これはあくまで特殊なケースであって、他の国で同様の措置は取られない、との見方がされていました。ところがユーログループの議長が「前例とみなされるべき」と今後他の国でも同様の措置が取れれる可能性を示唆したのですから、この発言は非常に重要なものです。

その後ユーログループ報道官が「議長は、キプロスの銀行リストラ計画、その他のユーロ圏の前例と見なされるべきとは発言していない」と議長の発言を否定しましたが、発言は一言だけ伝わったわけではなく、一連の発言として伝わったものですから、否定は説得力がありません。

今すぐに同様の措置が他の国で取られるという可能性はありませんが、脆弱な銀行は救済されず、預金保険の範囲外の預金者は社債などの債券保有者と同等のリスクを負うという前例ができ、それが今後も適用される可能性がある、ということになれば、体力の落ちている銀行から預金をより健全な銀行に移そうという動きが出るのが当然です。ひいては、ユーロ圏からの資金逃避が起きてもおかしくありません。

当初はユーロ売り、という動きになるのでしょうが、今後の展開しだいでは銀行システムに対する不信感が強まって、リーマンショックのような世界的なリスク回避の動きにすらつながる可能性もあるので注意が必要です。