「堅調スタート、早々に配当落ち分を埋め・・・」~黒岩の眼(朝刊)

「堅調スタート、早々に配当落ち分を埋め・・・」
 昨日の米国株式相場は反発。ダウ工業株30種平均は111.90ドル高の14559.65、ナスダック総合指数は17.18ポイント高の3252.48となった。また、シカゴ日経平均先物は12490円付近での推移。したがって本日の東京株式相場は買い先行の展開を想定。堅調なスタートが予想される。

 本日は3・9月決算企業の配当落ち日である。日経平均で約90円の配当落ちが予想されており、昨日と比べてこの分だけ安く始まることになる。

 しかし、海外市場では株高となっており、日経平均先物は12490円付近での推移。配当落ち分は早々に埋められる形となりそうだ。焦点となるのは、日経平均の日足チャートの形状。現時点では「弱気形状」となっており、これが維持されるのかが焦点となる。

 「強気・弱気」の判断ポイントは、「窓理論」に合った値動きをしているか否か。現時点では上方の窓埋め(12522.05円―12586.06円)を行ったばかりであり、この窓埋めが否定されるかどうかが焦点となる。

 具体的には3/25の高値(12594.36円)を突破するか否かであろう。配当落ち分があるとはいえ、このラインを突破すると、「軸上向き」が鮮明となる。こうなってくるとNYダウと同様、いずれ日経平均も新高値更新ということになるのだろう。
日経新聞一面トップで伝えられているのが、日銀が緩和手法を「統合する」という話である。これは「通常の資金供給オペ」といわゆる「資産買い入れ基金」を統合するというものであり、特段驚きのあるものではない。むしろこれまで分離していたのが不思議なくらいであり、統合することでより緩和規模が明確になるという面がある。

 しかし、よくよく考えてみると、日銀の行っていることは、政府が発行した国債を大量に買うという行為。日銀は否定しているが、これはいわゆる「財政ファイナンス」といわれるものであり、ある意味「禁じ手」であるのだ。通常モードであろうが、臨時モードであろうが、やっていることは「通貨と国債のバーター取引」。将来的には通貨の信用崩壊につながるものだ。これを正々堂々と「金融緩和」という名目で行っているのだから、開いた口が塞がらない。「自国通貨を安くする政策をなぜ国民は歓迎するのか」――ここに根本的な問題があるのである。いずれ国民生活にはコスト・プッシュ・インフレ(輸入物価上昇、コスト上昇)という魔の手が伸びることになりそうだ。

 そして「一票の格差」に関して、高裁岡山支部が岡山2区の選挙を無効と判断した。先の広島高裁の判決とは違い「猶予期間なし」となっており、より厳しい判決となっている。

 しかし、この問題に関しては、最終的には最高裁が決めること。昨年暮れの選挙前から自民党と最高裁では「選挙を無効にしない」という密約があったとされており、これが即座に安倍政権の崩壊にはつながりそうもない。「高裁が国民向けのガス抜きを行い、最高裁がそれをひっくり返す」――そんなシナリオが用意されていると思われる。

 そのほか気になったニュースとしては、足下の長期金利の低下だ。通常、株価が上昇してくると、長期金利というのは上昇してくるもの。なぜならば、株価は景気回復を見込んでおり、景気が回復してくると長期金利は上昇、つまり債券は売られるからだ。債券を売って、株式を買うという動きが出てくるのだ。

 だが、足下の長期金利低下は明らかに違和感がある。その背景となっているのが、日銀による長期債購入への期待だ。日銀の黒田新体制は国債買い入れを長期債にシフトするとしており、これが長期金利の低下を促している。マーケットは「日銀が買うなら長期債の価格は上昇するよね(=金利は低下するよね)」と考えており、それが実行されているのである。

 でも、これって明らかな「債券バブル」ではないのか。本来の動きとは反して長期債が買われており、この分がバブル化している可能性が高いのだ。「もし、日銀の信用が急低下したら」――そう考えると末恐ろしい結果になる。

 今は日銀の信用を背景に、長期債が買われていることだ。だが、この日銀の信用がガタ落ちになったら、日本国債は真っ先に売られることになる。誰も信用しなくなるからだ。これは日本からの資金流出を意味し、いわゆる「キャピタルフライト」を引き起こすことになる。これが一番恐いのであり、このリスクをマーケットはそれほど意識していない。「赤信号、みんなで渡れば恐くない」といった感じであり、これがアベノミクスの恐ろしさなのである。7月の参院選を通過すれば、ハシゴはすべて外される。そのこと投資家は肝に銘じて、相場と対峙する必要がありそうだ。