完全に生まれ変わった日本銀行~アベノミクス相場は続く~

 
黒田新総裁率いる日本銀行は完全に生まれ変わった。本日発表された金融政策決定会合で、日銀はマネタリーベースを2014年末に270兆円まで増やす金融緩和策の強化を打ち出した。すべての年限の長期国債が買い入れ対象となり、これを大量に購入することで日銀のマネタリーベースは今後急ピッチに増える。

貨幣価値の源泉となるベースマネーは、2009~12年までの4年間で約40兆円しか増えず、年間あたり+10兆円という微々たる金額だった。米欧中銀と比べると、圧倒的に量的緩和の規模が足りなかった。今後、1年間で約+70兆円とこれまでとは全く異なる速さで日本銀行の資産規模が増える(グラフ参照)。なお今回の決定と同規模の金融緩和がなぜ必要かについては、拙著「日本人はなぜ貧乏になったか」で詳細に説明しているので参照頂きたい。
 
そして4月2日レポートでも述べたが、より重要な点は、大規模な量的金融緩和をいつまで続けるかということだ。日銀は、「2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」と声明文で示した。デフレから完全に抜け出し+2%のインフレ状況が安定するまで、大規模な量的金融緩和を続けるということである。

FRBが2012年に採用したのは、失業率を低下させるまでという条件付きのオープンエンド方式の量的金融緩和だった。そして今回日銀も、「経済物価情勢について上下双方向のリスク要因を考慮し、(金融緩和の継続について)必要な調整を行う」としている。+2%の物価目標が実現しなければ、金融緩和拡大を永続的に延長するという意味である。

中央銀行による資産購入で資金供給拡大が続けば、理論的に将来インフレが起こる。こうした明確な姿勢を示すことが、市場の予想インフレ率を高めるわけだ。そして、今回の声明文の最後で、以下のように、予想インフレに働きかけ早期の脱デフレを目指す政策姿勢を鮮明にしている。「(量的・質的金融緩和は)、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。(途中省略)15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。」

これまで白川前総裁は、「量的金融緩和の規模を抑制かつ終了期限を敢えて明示」「物価目標について+1%と世界標準ではない曖昧な数字を嫌々発表」「金融緩和の弊害に頻繁に言及」してきた。金融緩和強化で、脱デフレを目指す意図はほとんどなかっただろう。黒田日銀によって、それとは180度異なる考えで金融政策が遂行されるわけで、これは「レジームチェンジ」である。

日本経済が脱デフレを果たすための、最低限の条件である金融政策のレジームチェンジはようやく実現した。日本銀行の政策転換への期待で、これまで大幅な株高・円安が続いたが、このアベノミクス相場はしばらく続くだろう。