債券先物の混乱と海外勢の円安反応を見極める

100円の節目を前にドル/円相場の上昇鈍化
ドル/円相場は、4月11日に一時99.95円まで値位置を切り上げ、2009年4月14日以来の100円台乗せは時間の問題と見られたが、その後はドル買い・円売りポジションにやや調整圧力が強くなっている。

1)債券先物市場の混乱、2)100円の節目を前にオプションの防戦、3)米為替政策報告で円相場を注視する立場が示されたことなどが、短期筋にポジション調整を誘っている模様だ。本格的な値崩れこそ回避されているが、直近安値は97.63円に達するなど、高値からは2円超のドル安・円高になっている。

ここにきて、ドル/円市場でも債券先物市場の動向が注目を集めている。日本銀行が大規模な国債購入策を実行に移すにあたって、債券相場が下落した局面では円高圧力が強まる傾向が見受けられる。債券先物が売られるのは緩和策が効いていないとの見方があることに加えて、債券市場の混乱そのものが金融緩和政策のリスク要因と評価されて円買い圧力を強めている。当面は、債券相場の動向に無関心でいることが難しくなっている。あくまでも、急激な政策変更に伴う一時的な混乱の可能性が高いと考えているが、当面はこの混乱状況の収束待ちの状況になる。

一方、12日に米財務省が公表した為替政策報告書では、日本が競争上の優位を得るために円相場の引き下げを目的にしていないかを注視する姿勢が示された。「競争上の目的に基づく為替相場の目標設定を控えるように促す」として、改めて政策担当者が為替レートに口先介入することを強くけん制している。ただ、この辺は、2月の20ヶ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などで確認されていたものであり、特に材料視されないだろう。

18~19日には再びG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されることで、ここで改めて円安批判の声が強まるリスクも警戒される。特に、韓国や中国などからは、前回の会合同様に必ずしも強いトーンではないにせよ、一定のけん制発言が出される可能性が高い。もっとも、米欧がともに金融政策に対する依存度を高めている現状では、緩和政策に伴う円安圧力を否定する動きが、コンセンサスになる可能性は殆ど無いだろう。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長や、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事なども日本銀行の強力な緩和政策に理解を示している。G20後に円が買われる場面があったとしても、大きな動きにつながる可能性は低い。

日本銀行が今後2年でマネタリーベースを2倍に急拡大する方針を示している一方、FRBが量的緩和政策のコスト・ベネフット分析から「出口」を意識し始める中、ドル高・円安基調の修正は難しい。ソロス・チャートなどを持ち出すまでもなく、通貨価値の毀損を進める日本と、それに歯止めを掛けることを検討し始めた米国との違いは顕著である。ドル高・円安の勢いは徐々に鈍るも、100円を突破する可能性も十分にあろう。下値支持は96~97円。

ここにきて米経済指標に低調な内容のものが目立つが、これから本格化する米企業決算が株高傾向を支持する限りにおいては、ドル/円相場に対する影響は限定されよう。

なお、ここにきてドル建て金相場の急落傾向が強くなっている。上述のように、ドルの通貨価値毀損の動きに歯止めを掛ける議論が活発化していることや、CRB商品指数の年初来安値更新が続いていることが、購買力指標としての金価格の低下を促している。金上場投資信託(ETF)の大量売却、キプロスの金売却の可能性などもネガティブ材料に。現物需要の期待できる価格水準であるが、リスク投資環境の地合改善の思惑もあって、投機筋の市場離脱が続いている。

円建て金相場は、年初から1グラム=4,600~5,100円を中心としたボックス圏内での取引に。円安効果で下値不安は限定されるも、ドル建て金相場の急落で相殺される構図に。短期の地合悪化は否めないが、円建て資産に対する脱デフレ脱却圧力が強まれば、まだ上値切り上げの可能性もあると考えている。