ドル円、円買戻しの本当の理由は

短期筋のポジション調整
木曜日のエントリーで、

>今晩、23時以降は防戦売りが減って100円以上に上昇しやすくなると考えられます。
>今晩100円を付けられなかった場合、一旦2~3円の調整がはいる可能性が高まる

と書きました。

その後ドル円は木曜日23時の99.20円台から円売りが強まって、NY時間午後には99.90円台の高値を付けました。しかし100円を付けられずその後じり安となって、週明けの今日97.50円台まで約2.5円の調整となりました。ほぼ見通しは正しかったようです。

今日の下げは米財務省半期為替報告書に

「我々は引き続き日本が通貨の競争的な切り下げを避け、競争力のために為替レートをターゲットにしないことを堅持するように圧力を掛ける」

とあったことから円の買戻しが強まった、という説明になっています。

いくつかの理由で、私はこの説明は間違っているとは言えないまでも、正しくはない、と考えています。
米財務省半期為替報告書 http://www.treasury.gov/resource-center/international/exchange-rate-policies/Documents/Foreign%20Exchange%20Report%20April%202013.pdf の中でたしかに

「我々は引き続き日本がG7やG20の場で合意した通り、国内の手段を国内の目的を達成する事に向け、通貨の競争的な切り下げを避け、競争力のために為替レートをターゲットにしないことを堅持するように圧力を掛ける」

という文はありますので、この部分だけを見れば円安誘導を懸念している、と取れなくはありません。この他

「12月16日の安部政権誕生から数週間、日本当局者の「行き過ぎた円高の是正」という欲求に関する公的な発言が多数あった」

ともしていますが、

「しかしながら日本政府は、2013年2月のG-7における「政策は国内の目的に対し国内の手段を用い、為替レートを目標にはしない」との声明を共有している」

「日本は「競争目的のため為替レートを目標にしない」との2013年2月のG20財務相中央銀行総裁会議での声明も共有している」

などとして日本の円安誘導を否定しています。

また、このところの円安の原因を

「世界的な経済リスクセンチメントの後退と、安部首相が積極的な金融緩和を約束したこと」

と分析している事も、円安は円安誘導によるものではなく、政策などの結果という見方を示しています。そして

「通貨の競争的な切り下げを避け、競争力のために為替レートをターゲットにしないことを堅持するように圧力を掛ける」

との表現は、日本にだけ向けられたものではなく、他の国にも向けられています。

したがって米財務省半期為替報告書を受けて円の買戻しが強まった、というのは、一つのきっかけではあったかもしれませんが、97円台半ばまで下落した理由は別にあると考えています。

まず木曜日にいわゆる「防戦売り」が少なくなった後も100円を付けられなかったのは、防戦売り以外にも売りがあったことを示しています。そしてその売りの為に100円という目先の目標に届かなかったことから、短期筋が円売りの規模を一度縮小した(円を買い戻した)という事が今回の調整局面の本当の理由だと思っています。

しかし、大きな円売りの流れが変化する材料はありませんので、今後も押し目買いのスタンスを維持すべきでしょう。