ドル/円は100円台回復から更に上値を試す

ドル建て金相場軟化も、円建て金価格は堅調
ドル/円相場は、1ドル=102円水準まで値位置を切り上げる展開になっている。4月中旬から5月初めにかけては95~100円水準で膠着気味の展開となり、100円の節目での抵抗の強さを確認するステージになっていた。しかし、5月9日の取引であっさりと100円の壁を突破すると、そのまま一気に取引レンジを切り上げており、約4年ぶりのドル高・円安水準を更新している。

ここ1週間のドル高・円安に関しては、「円安」よりも「ドル高」とみるべきだろう。世界の中央銀行は改めて流動性供給を迫られているが、米国に関しては資産購入規模の減額シナリオを織り込む動きが活発化しており、ドルが買われ易い地合になっている。米10年債利回りは一時6週間ぶりの高値を更新しており、日米金利差拡大の動きがそのままドル買い・円売り圧力につながった模様だ。

4月30日~5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入の「減速」のみならず「加速」カードも示されていたことを考慮すれば、マーケットの米経済(特に雇用情勢)に対する楽観ムードには過熱感も否めない。ただ、3日発表の4月米雇用統計が市場予測を大幅に上回ったことに加え、9日発表の新規失業保険申請件数が約5年ぶりの低水準まで落ち込む中、マーケットの視点は依然として量的緩和第3弾(QE3)の縮小、更にはその先にある「出口」に集中した状況が続いている。

このまま米金利上昇圧力が継続するのであれば、円ではなくドル主導でドル高・円安が一段と進む可能性を想定しておく必要がある。

そのため、米経済温度を計る指標として、引き続き米経済指標が注目され易い地合になるだろう。13日の4月小売売上高、15日の5月ニューヨーク連銀製造業指数、4月鉱工業生産、16日の新規失業保険申請件数、4月住宅着工指数などに注目したい。これらが米景気回復に伴うドル高シナリオに疑問を投げ掛ける内容になった場合には、一時的にドル高・円安基調に修正圧力が強まる展開を想定しておく必要がある。ただ、100円台を大きく割り込むような地合にはないだろう。寧ろ、米指標悪化を受けてのドル安・円高局面は、改めてドル買い・円売りを進める好機になると考えている。

一方、円売り材料は出尽くしたとの見方もあるようだが、これまでに決定された緩和政策が着実に履行され脱デフレ期待への働きかけが継続する限りは、円安基調に変化はないと考えている。週末の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも円安批判は高まっておらず、ドル/円相場は100円台の値固めを経て更に上値を試すことになるだろう。今後1週間の予想レンジは、99.50~103.75円となる。

さて、ドル建て金相場は1オンス=1,500ドルの節目を前に失速し、やや調整売り優勢の展開に。米金利上昇圧力とそれに伴うドル高、ドル建て資産価格低下圧力が、金価格を押し下げている。1,300ドル台では改めて現物需要の拡大が下値をサポートしようが、現在の米金融政策見通しを下地にする限りは、改めて投機マネーの流入を促すハードルは高い。ボラタイルながらも横ばい、ないしはじり安の展開を想定している。

円建て金価格は、円建て資産価格上昇の追い風を受けて堅調地合を維持。引き続き、ドル建て金価格がパニック化すれば急落することは否定できないが、円安・脱デフレ圧力を背景に緩やかなペースでの上昇トレンドは維持できるとみる。