EU離脱に関する国民投票について

党内の分裂阻止に苦慮するキャメロン首相
先週、エリザベス女王によって行われた施政方針演説で、国民投票法案が盛り込まれていなかったことに腹を立てた保守党の反欧州派議員達は、その直後にEUに関する国民投票の法案についての異例の動議を提出しました。

それを受け、昨日保守党はキャメロン首相が訪米で不在にもかかわらず「2017年までに国民投票を実施する」法案を発表しました。

主な内容としては、キャメロン首相の1月の約束では「2015年総選挙で保守党が与党となり、キャメロン氏が継続して首相となった場合」という条件がついておりましたが、今回の法案では「保守党政権であれば、誰が首相でも関係ない」と変更されています。

ただし、この法案は『議員提出法案(Private Members’Bill)』という位置づけとなっており、政府提出法案(Government Bill)と比較した場合、英下院では、議院規則上、議員提出法案の審議時間は極めて限定されており、一定の反対がある法案は成立が困難な仕組みになっています。

*国民投票実施時期

国民投票実施時期についてですが、一部の議員の中には、国民投票を2015年総選挙前に実施すべきだという声が挙がっていますが、これは非常に危険な賭けだと思います。

その理由は、例えば、本日国民投票が実施されれば、かなりの確率で英国はEU離脱の選択を選ばざるを得なくなります。

しかし今後キャメロン首相をはじめとする英国政府が欧州委員会との話し合いに入り、両者の間で『EUにおける英国の立場やオプトアウト条件』が確かなものとなった時、’’新条件のもとでならEU残留に前向き’’になる国民が増えることが考えられるからです。

その意味で、キャメロン首相は国民投票の実施は約束するものの、時期を急ぎすぎると逆効果を招くと警告しており、私もその意見には全く同感です。

とりあえず、この問題がくすぶっている以上、連立相手の自民党(欧州寄りの党)がこれがきっかけで連立から降りることにでもなりかねないため、政治的な面からは英国の苦悩は始まったばかりかもしれません。