甘利経済再生相発言の真意は?

G7では?
週末日曜日、NHKの「日曜討論」に出演した甘利経済再生相は

「過度の円高の是正はかなりできたと世の中で言われている」
「これから円安がどんどん進むと国民生活にマイナスの影響が出てくる。それをどう最小限にとどめるかがわれわれの仕事だ」

と述べました。

今月ロンドン郊外で開催されたG7財務相・中央銀行総裁会合では、円安が容認された、として先週円安が進む場面がありました。日本側は、麻生財務相が「日銀の金融政策について批判的な意見はなかった」と述べ、財務省高官も「国内目的に焦点を合わせ、為替を操作すべきでないとした合意を日本は順守しているため、他国が政策を注視しても気にしない」ち述べていました。

一方ドイツのショイブレ財務相は「財務相・中央銀行総裁会議で為替相場の動向に関し、日本と集中した討議を行った」「既に明確化しているコンセンサスがあることを日本側に伝えた」と述べています。またカナダのフレアティ財務相は「為替動向への懸念表明はあった」と述べていて、円安に対する批判が全くなかったとは言えないようです。

ドイツの言う「明確なコンセンサス」には

1. 財政・金融政策は為替レートを目的としない
2. 通貨安競争を回避する

が含まれています。

またルー米財務長官は「日本は長い間、成長面の問題があり、われわれも日本に対処するように働き掛けてきた。日本が国際合意の範囲内にとどまるのであれば成長は大事な優先課題」と述べる一方「我々は注視していることを明らかにしている」と述べて、円安誘導とも取れるような行動については釘をさしています。

G7後から、日本の政府関係者からはそれまでのような「現在の状況は行き過ぎた円高の修正局面」などのコメントが出てこなくなりました。その代わり甘利大臣の発言が出てきたのです。これまでの流れを見ると、甘利大臣の発言は決して個人的な感想を述べているのではなく、G7諸国に対するメッセージが含まれている、と考えられます。今後は麻生財務相なども同じ趣旨の発言をするかもしれません。G7でどんな議論があったかはわかりませんが、今後少なくとも日本の当局者が円安を促すような発言をすることはない、と予想できます。

現在までの円安進行には、日本政府の強い姿勢を受けたプレミアム(上乗せ分)が生じていると考えられます。そう考えれば、政府首脳の発言がややトーンダウンすることで、短期的にはやや円高になりやすくなると予想できます。

もちろん貿易収支の赤字定着や、米経済の回復傾向とそれに伴う米長期金利上昇、そして米金融緩和の出口政策に関する思惑、各国株価の上昇により全般的なリスク選好など円安材料に大きな変化はありませんので、中期的な円安の流れに変化はないと考えられます。