年内に110円超えなるか

1ドル=105円ターゲットと110円への道
 外国為替市場での円相場は、5月9日に1ドル=100円を突破して、現状1ドル=103円台までの下落をみせている。市場関係者の多くは、2007年以降のテクニカル分析で次のフシ目となる105円を次のターゲットとしているようだ。

 菅義偉官房長官をはじめ、安倍内閣の主要閣僚の発言などからも、円安の当面の目安を1ドル=105円に置いている気配がうかがえる。現状で105円を超えて円安・ドル高が加速すると(1)さすがに、米国から輸出の妨げになるとして批判が高まる可能性がある、(2)国内では、輸入物価の上昇に伴う発電用の天然ガスや、ガソリン、食料品などの値上げが問題視される、(3)輸出関連の大手企業だけが儲かっている印象が強まり、参院選などの選挙でマイナス材料となる――などの問題点が浮上する可能性もある。

 従って年内は、この1ドル=105円を大きく超えて、一気に110円を突破する可能性は少ないのではないか。しかし、中期スタンスでは110円を超える可能性は十分ありそうだ。具体的には(1)日米の金融政策スタンスの方向性の違い(日本は異次元の緩和継続、米国は緩和からの出口戦略を模索)が明確化していること、(2)財務省が22日発表した4月貿易統計速報で、貿易収支が8799億円の赤字となり、4月としては過去最大の赤字幅を記録するなど貿易赤字が定着し、円を取り巻く需給環境が円売りに傾いていること――などから、円安・ドル高基調は、当面大きく崩れない可能性が強い。

 さらに、米国経済は、住宅市場の回復を起点とした自律回復の好循環が鮮明になりつつあり、年後半以降、緊縮財政による財政面からの下押しが一巡すれば、回復基調が明確化してくることが期待される。それに伴い、FRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小観測も高まり、米国金利の先高観が強まるつれて、ドルの上値が広がる可能性がある。

 日銀は4月4日の金融政策決定会合で、金融市場調節の操作目標を無担保コール翌日物金利からマネタリーベースに変更した。マネタリーベースを2013年末に200兆円、2014年末に270兆円まで積み上げる計画だ。日銀がマネタリーベースの積み上げを完了する2014年末にかけて、1ドル=110円台乗せが現実味を帯びてくる可能性が高い。