今週は、ドル/円の底固さを改めて試す展開へ

株価との相関関係が続く
ドル/円相場は、5月22日の1ドル=103.74円をピークに、足元では100~101円水準まで値位置を切り下げている。概ね日経平均株価と連動した展開になっており、日本株買い・円売りポジションが修正局面を迎えていることが明確に確認できる。

こうした動きを主導しているのは株式相場の方であり、単純な過熱感解消の動きなのか、それとも日本銀行の金融緩和策に対する信認低下なのかで、今後の相場見通しは大きく異なることになる。一時的な株安であればドル/円相場の調整も一時的なものに留まるだろうし、株高のピークアウトであればドル/円相場の上昇局面にも終止符が打たれることになる。引き続き、株価動向を見極めるステージになる。

特に、債券市場の値動きが荒れていることが警戒される。ただ、4月26日開催の日銀・金融政策決定会合の議事要旨(5月27日公開)では、『①金利の押し下げにつながる大規模な国債の買い入れと、②金利の押し上げにつながる「物価安定の目標」の早期実現への強い姿勢とが相反するものと受け止めて動揺した可能性がある』、「金利上昇は、予想物価上昇率の高まりとその背後にある実体経済の好転を示唆している可能性がある」など、総じてポジティブな評価が優勢になっている。

脱デフレ期待が強まり、景気回復期待が強まる中、ある程度の金利上昇圧力は容認せざるを得ない。そもそも、実質ベースでの金利水準は依然として抑制されており、これまでに経験したことのない異例な緩和策導入に伴う一時的な混乱との評価で十分だろう。日本銀行は長期国債の買い入れオペを弾力化する方針も示しており、「期待」に働きかける政策が破綻しない限りは、債券市場の混乱は徐々に収束に向かう見通しである。

日経平均株価は既に50日移動平均線も下回っており、理由付けに関しては様々なロジック構成が可能なものの、過熱感・割高感が解消されていることは間違いない。今後は、安倍首相の打ち出す成長戦略などをきっかけに、株式市場が安定を取り戻せるのかが試されることになる。サプライズとなるような成長戦略を打ち出すハードルは高いが、マーケットの脱デフレ・成長期待が維持される限りにおいては、円安の大きな流れは変わらないと考えている。

一方、米国サイドでは良好な経済指標が発表されると、緩和策の早期縮小観測が株安を促すといったイビツな相場環境になっている。ただ、米金利が高止まりしていることを考慮すると、本格的な株安局面に突入するリスクは限定的だろう。7日に発表される5月米雇用統計が注目ポイントになるが、量的緩和の縮小議論が活発化すれば、米金利上昇・ドル高圧力が改めてドル/円相場もサポートすると考えている。日米の金融政策スタンスの違いは明らかであり、ドル/円相場は改めて底固さを試す局面になるだろう。

なお、ドル建て金相場は緩和策縮小見通しを織り込む形で上値の重い展開が続く見通し。現物筋の買い付けラインも引き下がっており、切り下がった需給均衡ポイントを探る形で下値追いの展開になると考えている。弱気ファンドのポジションがかなり軽くなっていると予測されるため、ドル買い・金売りの再開に備えたい。

もっとも、円建て金相場に関しては、「ドル建て金相場下落」と「円建て資産価格上昇」との狭間で明確な方向性を打ち出せない展開が続く見通し。ドル相場主導で金価格形成が進む限り、円建て金相場は大きく動きづらい。