日経株安・円高継続も、海外マーケットは徐々に沈静化へ向かう

株安でも金市場に資金は流入せず
ドル/円相場は、4月4日以来の円高・ドル安水準となる1ドル=94円台中盤まで値位置を切り下げている。特に明確な理由がある訳ではないが、昨年10月から続いてきた急激な日経平均株高・円安トレンドが修正を迫られるステージが続いている。

当初の株安・円高の原因とされた債券市場の混乱は収束に向かっており、何が円の急伸を促しているのか分かりづらい状況にある。安倍政権の成長戦略に対する失望感なども指摘されているが、事前に想定されていた内容と大きな違いがある訳ではなく、後付けの解釈との評価が否めない。

敢えて理由を挙げれば「アベノミクス」に対する市場関係者の信認低下となるのだろうが、これまでの所は実体経済の回復と脱インフレ期待を醸成することに失敗している訳ではなく、単純なポジション調整との理解で良いと考えている。半年以上にわたる急激な株高・円安の反動で値幅は大きくなっているが、基調判断に修正を迫るような動きではないだろう。

実際、日本市場以外ではリスクマーケットが徐々に落ち着きを取り戻しており、グローバルマーケットは早くも底打ちを探るステージになっている。依然として日経平均株価に対しては投機的な売り圧力が観測されているが、原油相場は逆に値位置を切り上げ、米国債や金などの「安全資産」に対する需要が盛り上がりを欠いていることからも、円のみが急伸を続ける地合に対しては違和感が強い。

日米の金融政策スタンスが正反対の方向を向く基本環境に変化がない以上、ドル安・円高が本格化する状況にはない。日米2年債利回り格差も5月上旬と特に大きな変化はなく、1ドル=100円台に過熱感を認めることは難しい。むしろ、現状はポジション調整がオーバーシュート状態に至ったと考えている。

6月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では大きな政策変更は想定していないが、声明文レベルで今後の政策変更を示唆するような動きがあれば、ドル高という形で円高是正が進む可能性もある。ただ、現段階では今後の政策決定から柔軟性を排除するような動きは想定しづらく、過大な期待は持つべきではないだろう。

特に理由無くドル安・円高が進んでいるマーケットのため、時間の経過が現在のパニック的な日経平均株安・円高にブレーキを掛ける見通し。相場環境が沈静化に向かえば、再び円安・ドル高トレンドに回帰しよう。アベノミクス失敗といった見方とは、距離をとっておきたい。

一方、ドル建て金相場は1オンス=1,300ドル台後半での小動きに。欧米株式市場が早くも落ち着きを取り戻す中、徐々に戻り売り圧力が強くなっている。ドル安や原油高でも再び金相場を物色する動きは鈍く、マネーフローの改善は実現していない。このまま株安傾向に終止符が打たれるのであれば。需要家の買い支えが本格化する価格水準を模索する形で、値位置を切り下げよう。円建て金は海外安と円安の強弱材料が打ち消しあう展開を想定しているが、やや弱含みの展開か。