ドル/円は100円台回復を試す流れへ

米金融政策の正常化見通しで金価格は軟調
ドル/円相場は、6月13日の1ドル=93.79円をボトムに、足元では98円台中盤まで切り返す展開になっている。1)「日経平均株価売り・円買い」の動きにブレーキが掛かっていることに加え、2)6月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)をきっかっけにドル高圧力が強まる中、ドル/円相場も地合を引き締めている。6月11日以来のドル高・円安水準を更新している。

5月下旬から6月上旬にかけては日経平均株価が急落し、株高連動で進んできた円安傾向にも急激なブレーキが掛かった。強力な金融緩和にもかかわらず日本国債利回りが急伸するなど混乱が見受けられたことで、「アベノミクス失敗」といった論説が広がったことが、日本株買い・円売りポジションに強力な修正を迫った。しかし、債券市場が落ち付きを取り戻すと、実体経済の回復傾向には何ら変化が生じていないとの見方が強まり、日本株と円相場がともに落ち着きを取り戻している。依然として日本株を買い進むことには慎重姿勢も見受けられるが、少なくとも円急伸リスクは後退している。

そして、ここにきて影響力を強めているのがドルサイドの動向である。FOMCでの政策変更は見送られたが、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が量的緩和第3弾(QE3)を年後半に縮小し、来年半ばには停止するとの見通しを示したことが、ドルの急伸を招いている。

マーケットでは、依然としてQE3縮小に懐疑的だった向きもあっただけに、予想以上にタカ派な発言が米金利上昇・ドル高を促している。米金融政策環境の正常化を見据えて、米10年債利回りは約2年ぶりの高値を更新しており、日米金利差拡大圧力が素直にドル買い・円売り圧力に直結している。

足元では、米金融緩和の出口を見据えて米株価が急落するなど、混乱が見受けられる。このため、金融市場が出口を拒否してパニック化すると、ドル高傾向に強力なブレーキが掛かる可能性もあるが、現時点では潜在的なリスク要因としてみておけば十分だろう。

円高が一段と進む理由が解消されていることに加え、ドル高圧力が強まる中、ドル/円相場は改めて1ドル=100円の大台乗せを試す展開を想定している。単純に日米金利環境を見るだけでも、現在の値位置には割安感が強い。

一方、ドル建て金相場はFOMC後に急落した。既に年初からじり安傾向が続いていたが、未だにQE3縮小の動きを本気で捉えていなかった向きが多かったことが確認できる。このまま雇用を中心とした経済指標の下振れがなければ、最短で9月FOMCでQE3縮小が決定される可能性もあり、戻り売り基調が継続される見通し。

本来は4月中旬と同様に現物筋主導で安値是正を進めたい所だが、今回は1,300ドル割れでも「価格急落→現物需要拡大」の明確なフローは確認できない。需要家の買い支えが本格化する価格水準を模索する形で、値位置を切り下げる展開が続く見通し。円建て金は海外安と円安の強弱材料が打ち消しあう展開を想定しているが、引き続きやや弱含みの展開か。