<どうなる中国経済:信用リスクに揺らぐ市場> 東洋証券・シニアストラテジスト 奥山要一郎氏

 中国経済への懸念がにわかに高まっているが、その背景には大別して3つの項目がある。まず、景気の減速懸念、その次にマネー流出懸念。この2つについては以前からマーケットでも意識されてきたことだが、問題は3つ目の流動性リスク(信用リスク)で、これが今、市場のセンチメントを大きく揺るがしている。
 シャドーバンキングの問題が取り沙汰されている。これは簡単に言えば銀行以外で投資関係を扱うファンド系機関などが該当するが、中国の場合は、地下金融やアングラマネー的な意味合いで用いられることも多い。現在、中国では理財商品(投資商品)が膨張し過ぎており、今月末の償還が約1.5兆元、日本円にして24兆円規模に達しているとみられている。端的に言えば、今シャドーバンキングを中心にこの償還がままならい状況で、これが金融システム不安の元凶となっている。
 償還資金を調達するのに不自由すれば銀行間で融通することになるが、この銀行間取引金利が足もと急上昇している。これに対し、中国人民銀行(中央銀行)が長期金利上昇を放置していることが問題で、これは見方によっては、政策当局が荒療治を画策しているというようにもとれる。業界再編や淘汰につながる金融版ハードランディングだが、これは長い目で見た場合は、改革のための産みの苦しみとして前向きに評価すべきことかもしれない。しかし目先的に大きな波乱は免れない。
 上海総合指数はきょうフシ目となる1900を割り込んでおり、既にリーマン・ショック直後の08年12月の水準まで値を下げている。今回の背景は中国固有のものであり、それだけにマーケットの緊張感も強い。
 月末を迎える今週、仮に当局が沈黙を貫いた場合は、“確信犯としての放置”で来週の中国は少々厳しい展開が待つ可能性もある。

出所:株経通信(株式会社みんかぶ)