中国の金融逼迫で金相場が売られる論理

流動性ショックの指標としての金価格
中国の金融逼迫に伴うリスクが高まる中、金価格が急落している。東京商品取引所(TOCOM)の金先物相場は、4月上旬に1グラム=5,000円台での取引になっていたが、足元では4,000円の節目を完全に下抜き、「アベノミクス」開始前の価格水準さえも下回り始めている。ドル建て金価格も年初来安値更新の動きに歯止めが掛からず、1オンス=1,250ドルの節目を割り込み2010年9月以来の安値を更新している。

中国株を筆頭にリスクマーケット全体に調整圧力が強まる中、本来であれば「安全資産」である金価格は買われて然るべきとも言える。しかし、流動性逼迫環境においては、金市場はリスク資産からの資金退避場所としての機能は有していないというのが、ここ数年の相場展開から学べることである。実際、2011年末に欧州金融不安からドル資金の調達懸念からLIBORが急伸した際にも、金相場の急落が確認されている。ドルの流動性危機からリスク資産が全面安となった時も、金は安全資産として買われるのではなく、売却対象になっていた。

このように書くと、「金の安全性神話が崩壊した」と受け止められ易いが、実際にはこれこそが金の安全性を象徴する動きだと考えている。すなわち、流動性の確保が難しくなった局面では、金を売却して流動性を確保するといったオペレーションが展開される傾向が見受けられるのだ。

今回の流動性ショックは人民元というローカル通貨に限定された動きのため、LIBOR急伸時のような混乱状況となるリスクは限定されている。しかし、金のフォワードレート急落、リースレート急伸といった、欧州債務危機と共通するような反応が確認でき、流動性ショックの度合いを測る指標として金価格に注目するのは有効だと考えている。

もっとも、流動性ショックが消化された後に、金価格が反発するかといえば、それはまた別問題である。