ドル/円は100円台回復を試す流れを継続

金価格は生産コストのサポートを探る展開に
ドル/円相場は、6月13日の1ドル=93.79円をボトムに、足元では99円台前半まで切り返す展開になっている。中国の流動性危機を背景にドル買い・円売りの流れにブレーキが掛かる場面も見られたが、その後は中国の短期金利低下と連動して、改めてドル買い・円売り優勢の展開になっている。6月5日以来のドル高・円安水準を更新している。

6月上旬は「アベノミクス失敗」といった論調が広がったことで急激なドル安・円高圧力に晒されたが、結局は急激なドル高・円安に対する修正局面であったことが確認されるステージになっている。日本銀行が本日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の業況判断指数DIはプラス4となり、2四半期連続で改善を見せた。プラス圏を回復したのは2011年9月以来のことであり、少なくとも日本の実体経済が回復傾向にあることが明確に確認できる。

引き続き中国短期金融市場の混乱状況に注意が必要だが、このままパニック的な相場環境への回帰が見送られるのであれば、日経平均株高・円安圧力が強まり易い環境にある。

一方、ドルサイドでは米金融緩和政策の早期縮小・停止観測を織り込む動きが継続している。6月27日にはニューヨーク連銀のダドリー総裁が、経済の成長ペースが金融当局の予想を下回った際には、資産購入プログラムを延長する可能性もあると指摘している。また、リッチモンド連銀のラッカー総裁は、資産購入の縮小を行ってもバランスシートの縮小には程遠いとの見方を示すなど、マーケットに広がる過度にタカ派的な金融政策見通しをけん制している。しかし、マーケットは年後半の量的緩和第3弾(QE3)の規模縮小の流れを確実視しているだけに、米金利上昇・ドル高の流れに歯止めを掛けるのは難しい状況にある。

7月5日には6月米雇用統計の発表を控えている。これを受けて7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策変更が合意される可能性は殆どないが、失業率低下・雇用者拡大傾向が確認されると、日米金利差拡大の動きがドル高・円安を促す可能性に注意が必要。

7月1日にはISM製造業指数、3日にはISM非製造業指数などの発表も控えており、米実体経済が本当に緩和策の支援なくして自立的に成長できる環境にあるのかを見極めることになる。

こうした中、金価格は急落している。中国の流動性ショック環境でも「安全資産」としての金を買い進むような動きはみられず、下値を切り下げている。従来の買い玉整理の動きに加えて、ここにきて短期筋が値幅取りを狙った売り玉の構築も開始しており、トレンドは明確に下方向を向いている。現物市場からのサポートは未だ確認されておらず、生産コストの論理から下値不安を限定する動きが開始されるのを待つステージになる。

生産コスト割れの鉱区が増える中、ショートカバー主導で短期リバウンドを試すリスクには注意が必要。ただ、改めて金相場を買い進むシナリオが描けない以上、戻り売り基調の否定は難しい。