米雇用統計の改善が追認するドル高・円安トレンド

金は生産コストの制約が下値サポートも、買えない相場
ドル/円相場は、6月13日の1ドル=93.79円をボトムに、足元では101円台前半まで値位置を切り上げている。ポルトガルの長期金利急伸で調整圧力が強まる場面も見られたが、100円の節目水準での値固めを経て、5月30日以来のドル高・円安水準を更新している。特に、7月5日の米雇用統計発表後にドルが急伸地合を形成している。

6月米雇用統計であるが、非農業部門就業者数は前月比+19.5万人となり、市場予測の+16.5万人を大きく上回っている。5月分に関して、速報の+17.5万人から+19.5万人まで上方修正されており、2ヶ月連続で20万人近い雇用増を達成した形になっている。失業率は前月の7.6%から据え置きとなったが、これは労働力人口の増加を反映したものであり、特に材料視されていない。平均時給なども着実に増加しており、雇用環境の改善傾向が強く印象付けられる状況にある。

これによって、マーケットは改めて債券購入プログラムが縮小に向かう動きを織り込む必要性に迫られている。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「年後半」を目途にしていることを示唆していたが、マーケットでは12月FOMCを有力視する向きが多かった。しかし、このペースで雇用改善が進むと9月FOMCでの量的緩和第3弾(QE3)縮小も現実味帯びてくることになる。6月下旬以降は膠着状態になっていた米金利も急伸しており、日米金利差拡大圧力がそのままドル高・円安圧力に直結し易くなっている。

一方、日本国内では参院選挙の告示が行われ、21日の投開票に向けて選挙戦が本格化している。各種メディアの世論調査では、自民党の優勢が報じられており、衆参両院のねじれ状態が漸く解消される可能性が高くなっている。これは「アベノミクス」路線が今後も継続されることを意味し、日本株に対してポジティブ、円に対してはネガティブになる。実際の投開票が行われるまではどのような結果になるのか分からないが、特に円サイドからドル高・円安トレンドを否定する理由は見当たらない。

引き続き、欧州の債務不安や中国短期金融市場の蒸し返しなどが行われるリスクに注意が必要だが、安定したリスク投資環境が維持されるのであれば、素直にドル高・円安トレンドが継続される可能性が高い。各種経済指標で米実体経済の回復傾向を確認しながら、5月22日高値103.74円を試す方向になる。

ドル建て金価格は、1,200ドル台前半から中盤で揉み合う展開に。短期筋の売り圧力は継続するも、生産コストの制約が警戒されることもあり、下落ペースは鈍化している。ただ、改めて投機マネーの流入を促すようなシナリオが描けない以上、戻り売り基調の否定は困難とみている。徐々にボトム形成に向かう可能性が高まるも、値ごろ買いは依然として禁物である。円建て金価格はドル建て金価格の軟化と円安の強弱材料に挟まれ、決め手を欠く。1グラム=4,000円水準での保ち合いに移行か。