97.5円割れなら92-95円に向かうのか

HF「120日線トレード」がもたらす円高シナリオ
 週明け早々、足元97.6円程度の120日移動平均線攻防となりました。前回も書いたように、相場の主導役であるヘッジファンドの売買転換点である120日線を割れるなら、あの円急騰、株暴落が起こった6月以来のことになるのですが、ではそれが実際に目先起こったらどんな展開になるかについて、今回は考えてみたいと思います。

 6月中旬に、昨年10月以来となるドル120日線割れが起こりましたが、それは最大で1%程度、そして3営業日程度で一巡する、一時的なものにとどまりました。その結果、ヘッジファンドは本格的なドル買い戦略転換には至らず、ドル急落はあくまで一時的で、すぐにドル高・円安へ戻すところになったのでしょう。
 その意味では、今回の場合、6月に続いてドルが120日線を割れるかとともに、もしも120日線割れとなったら、それが一時的にとどまるのか、それとも長期化するかも重要なポイントになりそうです。
 ちなみに、昨年10月下旬からドルが120日線を完全に上抜ける動きになると、ドルは一時最大で120日線を10%以上も上回りました。経験的には、120日線から±10%以上も大幅に乖離するような動きは、数年に一度あるかどうかといった大相場です。それほどではなくても、120日線からの乖離率が3-5%程度拡大するのは珍しくありません。
 そうであるなら、今回、かりにドルが昨年10月以来となる120日線を割れる状況がある程度続くようなら、ヘッジファンドがドル買い・円売り戦略を完全に転換することで、120日線を3-5%程度下回るドル安・円高に向かうリスクは警戒する必要があるかもしれません。当面に当てはめたら92-95円程度という計算になります。

 ドル円を取り巻く環境は、FRBが金融緩和を見直す中で、基本的に米金利は上昇する見通しで、一方日銀は黒田「異次元緩和」で円金利低下を維持する見通しであり、それは中期的なドル高・円安の示唆ということでしょう。
 にもかかわらず、ドル安・円高が進むことがあるなら、それを「FOMCを控え米金融緩和見直し期待が過剰になった分の修正」のように説明することも可能でしょう。ただそういった金融政策の方向性などとは「別世界」で起こっている、ヘッジファンドなどプレーヤーを取り巻くテクニカルな事情変化が確認できた方が、より納得しやすいかもしれません。(了)