【豪ドル】スティーブンスRBA総裁が、利下げ一服見通しを転換させる

商品市況軟化で資源国通貨に逆風
豪ドル/円相場は、1豪ドル=88円台後半まで軟化する展開になっている。引き続き中国経済の減速懸念が強力な上値圧迫要因になっていることに加えて、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のスティーブンス総裁が追加利下げの可能性に言及したことが嫌気され、昨年12月27日以来の安値を更新している。対米ドルでも豪ドルの戻りを試す動きは一服している。

株式市場では中国の景気減速懸念を消化しつつあるが、資源国通貨や商品市況に対するダメージは継続している。中国当局は、シャドーバンキング(影の銀行)など非公式金融システムに対する規制強化に乗り出していることに加えて、先週後半には過剰生産能力の強制削減策も打ち出しており、特に資源需要に対する先行き不透明感が強くなっている。CRB商品指数は明確なダウントレンドを形成しており、こうした中で資源国通貨を積極的に買い進むことは難しい。現段階では特に中国発のパニック的な動きは見られないが、中国株式市場・コモディティ市況がともに軟調地合を強いられる中で、豪ドル相場が独歩高となるシナリオを描くのは困難な状況になっている。

一方、ここにきて豪金融政策見通しが修正を迫られていることも強力なネガティブ材料になっている。RBAは7月2日に開催された金融政策決定会合の議事録において、通貨安によるインフレ見通しの押し上げに懸念を表明していた。このため、少なくとも当面の追加利下げはないとの安心感が豪ドル相場をサポートしていたが、スティーブンスRBA総裁が改めて追加利下げのリスクを高めているのである。

4~6月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.4%に留まっており、前期の+2.5%から伸びが鈍化している。RBAのインフレターゲット(+2.0~3.0%)の中間に位置していることで、ややインフレに対する警戒ムードを後退させることが可能な状況になっている。こうした中、スティーブンス総裁は、「4~6月の物価統計で中銀の緩和余地が保たれる」として、「必要なら一段の金融緩和を行う余地」について言及している。更に、豪ドル相場についても「時間とともに一段と下落しても大きな驚きは無い」としており、豪ドル相場の地合を著しく悪化させている。再び豪ドルサイドから豪ドル/円相場を押し上げるハードルは高くなっている。

こうなるとドル/円相場の動向に注目せざるを得ないが、ドル/円相場も調整色を強めており、円サイドから豪ドル/円相場を押し上げるためのハードルも高くなっている。日本銀行の緩和姿勢には何ら変化がみられず、失業率低下などでその効果も確認できるステージが続いている。ただ、ここにきて米国や英国の中銀がフォワードガイダンス強化などコミュニケーションツールで改めて緩和効果の拡大を志向し始める中、円安傾向にブレーキが掛かり易くなっている。

スティーブンス総裁の発言には明らかに意外感があり、8月6日の次回RBA理事会に向けて豪ドルの上値は重くならざるを得なくなっている。90円の節目が支持線から抵抗線に転換するステージになる。