方向感乏しく軟調、米債務問題の織り込み進む

閑散相場で方向感乏しく
 あす(17日)の東京株式市場は、買い物薄のなか、利益確定売りが先行する展開となりそうだ。米債務問題の協議進展への期待感は継続するものの、一方では債務上限引き上げ期限の短期間での先延ばしは、既に市場ではかなりの部分を織り込んでおり、与野党合意が現実のものとなっても、プラス反応は限定的との見方も多い。

 16日の東京株式市場は、前日比プラス圏と同マイナス圏を挟んで76円幅という方向感に乏しい推移となった。日経平均株価終値は、前日比25円高の1万4467円と小幅ながら6日続伸となったものの、TOPIX(東証株価指数)は6日営業日ぶりに小幅反落。また、東証1部の売買代金は1兆3802億円と閑散商いで、売買代金1兆3000億円台は、8月26日の1兆2759億円以来の低水準となった。

 市場関係者からは「米債務問題が決着した場合の、NY株式市場での株価上昇の程度に警戒感があり、売り方が様子見状態にある。したがって決着が実現した直後の株価の方向次第では、改めて売り方が息を吹き返す可能性も否定できない」としている。
戦略特区関連に照準、世界最先端のビジネス都市構築へ動く
 安倍晋三首相は15日午後、衆院本会議で所信表明演説を行った。金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢からなるアベノミクスについて「世の中の空気を一変させた」と成果を強調。この臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置付け、企業の競争力強化によって経済の好循環を実現する考えを表明した。また、7年後の東京五輪開催に向けて「特異な規制や制度を徹底的に取り除き、世界最先端のビジネス都市を生み出す」ことで「国家戦略特区制度」を創設するとした。

 「成長戦略実行国会」で議論の対象となる法案のなかで、株式市場からの注目度が高いのが“国家戦略特区”だ。具体的な規制緩和の内容として、(1)都心居住促進のための容積率・用途規制緩和、(2)企業の農業生産法人への出資制限緩和、(3)成田・羽田両空港の機能強化と都心アクセス改善――などをはじめとした多くの項目が検討されている。また、超党派の国会議員で作るカジノ議連は、臨時国会にカジノ解禁に向けた法案を提出する見通しだが、このカジノ構想も国家戦略特区の象徴的な存在となりそうだ。

 さらに、東京都が掲げている「アジアヘッドクォーター特区」も再度脚光を浴びそうだ。この構想は、アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点の、より一層の集積を目指して、外国企業の誘致を行うもの。新たに進出する外国企業に対する優遇税制や様々な規制緩和を用意する。具体的には都営交通の24時間運行のほか、外国人医師による一定の医療行為の認可、インターナショナルスクールの誘致、容積率や用途の緩和などを進める方針。

 羽田空港沖合拡張に伴って発生した跡地を中核とした周辺地域での構想も東京五輪開催と直結することから実現に拍車が掛かりそうだ。構想によると、中小製造業支援、クールジャパン、先端医療の3分野を集積することで、アジアの国際ハブ(拠点)空港を目指す羽田空港に隣接する地の利を生かし、経済の底上げを図るという。東京都競馬<9672>は、大井競馬場など、広大な土地を低い簿価で所有しており、「含み資産株」として注目。また、対象地域の隣接地に工場を所有する日本冶金工業<5480>やプレス工業<7246>も見逃せない。

 もう一つ東京五輪開催で、JR東日本<9020>の品川~田町駅間新駅構想の注目度が増している。国が11年に、この地域にある車両基地の跡地をアジア地区の本社や研究開発拠点を目指す「国際戦略総合特区」に指定。14年度中にも新駅設置に向けた工事に着手する。

 JR東日本は上野駅を終着点とする宇都宮線など3路線を東京駅まで延伸したうえで、東海道線と直通運転する「東北縦貫線」を運行する計画。運行後、この地区にある車両基地が不要になるため、約10ヘクタールをオフィスビルなどに転用する。

 さらに、東京都は品川車両基地に隣接する「芝浦水再生センター」(約20ヘクタール)を再構築・開発し、地上32階建の複合高層ビルなどを整備する計画だ。

 関連銘柄としては、事業主体のJR東日本をはじめ、軌道や駅舎の建設で豊富な実績を持ち、JR東日本と密接な関係のある東鉄工業<1835>、鉄建<1815>。また、芝浦水再生センターの再構築関連では、プロジェクト推進でメインの役割を果たす大成建設<1801>、NTT都市開発<8933>、この事業に投資しているヒューリック<3003>にも注目。周辺土地を所有する京浜急行電鉄<9006>にもビジネスチャンスが広がりそうだ。