米景気回復への期待と緩和縮小への不安=外為どっとコム総研 神田卓也

米景気回復への期待と緩和縮小への不安
本日最大の注目イベントは米11月雇用統計だ。雇用統計の前哨戦ともいうべき11月ADP全国雇用者数は前月比で21.5万人増と、今年最高の増加幅を記録。
さらに、昨日発表された新規失業保険申請件数は29.8万件と9月第1週以来の低水準に改善した。これら以外にも米国の雇用情勢の強さを表す指標が相次いでおり、本日の雇用統計(22:30発表、予想:失業率7.2%、非農業部門雇用者数18.5万人増)にも上ブレの期待がかかっている。

予想以上の強さとなれば、12月FOMCでの緩和縮小開始を市場が織り込み始める事になりそうだ。FOMCは、10月に発表した声明で「緩和縮小に着手する前に、さらなる証拠を待ちたい」としたが、その後に発表された10月雇用統計は、政府機関の閉鎖という逆風下においても、非農業部門雇用者が前月比で20.4万人も増加する好結果であった。
今回11月分も強い結果となれば、FOMCとしては「さらなる証拠」として採用しない訳にはいかないだろう。

ただし、雇用統計が期待以上の好結果になったとしても、ドル/円の支援材料になるかは不透明と言わざるを得ない。これまで市場は、緩和縮小開始が来年に先送りされるとの観測からリスク・オンに動いてきただけに、12月開始の観測が急浮上する事になれば、欧米株式市場を圧迫する可能性があるからだ。リスク許容度の低下による円の買戻しはドル/円の下落に繋がりかねない。

このように、短期的には波乱含みの展開も想定されるが、米雇用情勢の好転は米国経済に力強さが戻ってき始めた証しであり、それに伴い金融政策の正常化が見込める以上、やや長めの視点で見れば景気回復への期待が緩和縮小への不安に打ち勝つはずである。
したがって、最終的にはドルの価値を押し上げる事になると見られ、もし、今回の雇用統計が強い結果となりドル/円が下落した場合は、押し目買いの絶好のチャンスとなるのかもしれない。