来年はリスクを内包したアベノミクス相場の第2幕の展開へ

今年もあと5営業日で、16000円の大台にのせて年末を終えるかどうか
■ 来年の相場の展望・・・リスクを内包しながら上昇トレンドは続く ■

<年前半上昇すれば、年後半は要注意の相場展開へ>
 アベノミクス相場の第2幕がスタートしていますが、来年はアベノミクス相場の第1幕のような一方的な上昇相場にはなりにくといえます。前提に考えておかなければならないことは、アメリカの「QE3の縮小が開始された」という事実です。目先は、バーナンキ発言によって好材料視されましたが、QE3の実施によってアメリカ株式は上昇を続け史上最高値を更新中ですが、QE3が終われば、アメリカ株高もどこかで大きく修正されることになります。過去にQE1で15%、QE2で18%の調整が行われた経験則から、今回のQE3の終わりは来年の後半といわれていますので、来年の半ば以降は注意する必要があります。もちろん、それまでは上昇し続けるといっているのではなく、上がったものは下がるというのが相場ですので、史上最高値圏にある以上、突然どこかで調整があって再び上昇するというパターンになるのがふつうです。穏やかな上昇では穏やかな下落となりますが、急上昇の相場は急落する可能性が高いので、このまま上昇が続けば、日米共に注意が必要です。日本の場合は、為替とアメリカ株式に連動しますので、NYダウの動きには注目しておかなければなりません。悪材料として利用される可能性があるのは、来年2月の債務上限引き上げ問題です。秋の中間選挙を控えて共和党もあまり強引なことはできませんが、一応悪材料として出てくれば、これをきっかけに上げ過ぎからの調整が起こる可能性があります。

 来年の1月相場は、アメリカのQE3縮小開始がスタートして好材料としてとらえられ、目先の不透明感がなく経済指標の改善が相次いでいますので、株高・ドル買い基調が続けば、日経平均も16000円の大台から18000円相場に向けたスタートを切ることになります。その途中で、1月中旬から2月中旬に調整があれば、4月に向けて一段高が期待できることになります。ただ、ここからの新しい相場になるための、新しい材料がまだみえていません。日本市場は、これまでは円安という材料によってのみ上昇してきたのであり、最近の円安1本の材料に対して主力輸出株の反応が以前に比べて弱くなっています。結局、アベノミクス相場といっても成長戦略などの具体案が展開しておらず、日本の実体経済を引き上げるような状況にはなっていません。日経平均の18000円へのスタートもこの成長戦略が具体化してこなければ期待倒れになってきます。事実、先週までの上昇をみても、先物主導で日経平均に連動する値ガサ株が買われ、指数だけ上昇してほとんどの中小型株はカヤの外の状態となったままです。12月は上昇すればいったん利益確定といってきましたが、ごく限られた銘柄しか上昇せず、利益確定のチャンスがないというのが現状です・

 上昇期待はあるものの、現時点では相場の方向性がみえていませんので、相場は休むのが基本ですが、割安なものがあれば損切りを設定しての短期売買となります。1月に日経平均が上昇すれば、保有株の水準訂正を待って利益を確定するというスタンスとなります。

<来年考えられる株式市場を動かす材料>
(1)アメリカのQE3縮小の影響とアメリカ経済の回復の程度(特に雇用と住宅)

(2)為替の円安基調……アメリカではQE3の縮小のスタートと、日本は金融緩和が続くため、日米金利差からは円安基調となります。チャートでは、1ドル=110円を目指す形となっています。

(3)中国(尖閣諸島)、韓国(竹島)の領土問題……安倍総理は、これまでの弱気な外交と違って強気な外交戦略をとっているため、何が起こるかわからないという状況があります。

(4)新興国経済の停滞……QE3の縮小が進めば新興国から資金が引き上げられ、経済の停滞と通貨安が継続する可能性が高く、新興国に投資している日本企業に悪影響を与えることになります。

(5)ユーロ危機は脱したのか……欧州は失業率が高くドイツのみが栄えていたが、金融緩和策によって表面的には安定化してきている。しかし、デフォルト騒ぎのあったギリシャ、ポルトガル、スペインの経済が短期的に根本的な改善がなされたとは思えず、どこかでユーロ危機の再燃の可能性はあります。

(6)消費税増税の景気に与える影響……2014年度予算がどこまで悪影響を阻止できるか。

 以上を考えれば、日本株式が2020年の東京オリンピックまでは、中長期の上昇トレンドが続くとしても、その過程には大きな上下動があっての相場展開となるのがふつうであり、高くなったところでは買わず、大きな調整を待って買う、ということがリスクを少なくする基本的な投資スタンスだということになります。特に国内要因としては、4月からの消費税増税問題がどうなるか見通せませんので、4月までは駆け込みの個人消費が活発化する可能性が高いため、4月までが一勝負となるかもしれません。1月中旬以降の調整を期待するところです。

 先週の予測では、17~18日のFOMCの結果をみるまでは円安基調となっても上値は重く、外国人はクリスマス休暇に入ってくるので出来高は減少し主力株は買われにくく、中小型株相場になる可能性が高いとしました。
 週明け16日(月)は、FOMCを控えて「円買い・先物売り」となって先物主導で▼250の15152円の大幅反落となりました。しかし、17日(火)は△125の15278円と反発し、18日(水)はFOMCでのQE3縮小は見送られる観測の元に先物主導で△309の15587円の大幅続伸となりました。結果的に、18日(水)のFOMCではQE3縮小の実施が発表されましたが、同時にゼロ金利政策が長期に渡って維持される緩和策が発表されたことで、経済の強さが持続されるとの見方からアメリカ株式が急騰し、為替も5年2ヶ月ぶりの104円台の円安となりました。これを受けて19日(木)の日経平均は△271の15859円の上昇となってろあ買となり再び買転換となって週末20日(金)も△11の15870円と続伸しました。
 連休明けの24日(火)は、アメリカ株式の連日の史上最高値更新と104円台の円安を好感して約6年ぶりに16000円の大台を回復しましたが、その後上値は重く△18の15889円で引けました。今週は26日(木)以降に16000円の大台にのせて、年末16000円のせで引けるか注目となります。

〔昨年11月中旬からのアベノミクス相場を柴田罫線で振り返ると以下のようになります〕
 昨年の6月4日の8238円を安値に10月15日の8488円、11月13日の8619円と順上げの3点底(逆三尊天井)を形成し、11月13日の8619円を安値にアベノミクス相場がスタート、11月19日に9153円で買転換出現となって今年の5月23日の15942円まで上昇しました。この1週間前の5月15日(水)にメッセージで「山高ければ谷深し」として急騰後の急落の可能性を指摘し、5月23日に戦後11番目の急落となりました。6月13日の12415円まで下落後、7月19日の14953円まで反発するものの戻り天井となって8月28日の13188円まで再下落し、大きな三角保ち合い(A)の形となりました。この8月28日の13188円から9月27日の14817円まで戻したあと三角保ち合い(A)の上部で小さな三角保ち合い(B)を形成していましたが、11月12日の14588円で上放れとなり、7月19日の14593円を上に抜けたものの12月3日に15794円で止まり、12月6日の15112円まで下落してもみあいとなっていました。アメリカのFOMCの結果によっては、5月23日の15942円突破は年明けに持ち越しかとも思われていましたが、予想外にQE3縮小の発表が現時点では前向きにとらえられ、NYダウの史上最高値更新、為替の104円台と5年2ヶ月ぶりのドル高・円安となったことで12月19日には15859円と終値ベースで年初来高値更新となりました。5月23日の15942円を突破すれば2007年の18000円水準まではフシらしいフシはありませんので、来年はアベノミクスの成長戦略が具体的になれば、ここを目指すことになります。