2014年注目銘柄:ソフトバンクの上値を読む

1万円大台は通過点
 2014年の主力株を代表し、東京市場のムードメーカーとしての大役を担う銘柄といえば、ソフトバンク(9984)である。

 東京株式市場で、昨年のソフトバンクの活躍はまさに異彩を放っていたといえる。ちょうど1年前となる13年1月下旬から快進撃を開始、年間を通じて一貫した右肩上がりの上昇波動を形成し、株価を3000円から9000円台に3倍化させる驚愕のパフォーマンスをみせた。

 これが、中小型株ならいざ知らず、発行株数で12億株を超える同社株だけに、時価総額ベースでもたらす資産効果は強烈である。年末時点で時価総額は11兆円の大台に乗せ、メガバンクトップの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を抜き去り、現時点でトヨタ自動車(7203)に次ぐ日本2位の座に君臨する。
トヨタに次ぐ東証1部のシンボルに
 これは、ソフトバンクにとってITバブルの熱気冷めやらぬ2000年3月以来の水準だ。かつて究極の理想買いによって形成された絶壁を、14年の歳月を経て再びよじ登る壮大な現実買いのステージに今はある。

 同社株の評価の中軸は国内メガキャリア(大手通信会社)としての実績よりも、むしろM&A戦略を駆使した、世界的なコングロマリットとしての位置付けだ。それゆえ海外資金からの注目度も高い。現時点で外国人持ち株比率は46%と半分近くを占めるが、今後の動きも要注目だろう。

 昨年夏には、米携帯電話大手のスプリント・ネクステル買収に成功、もうひとつのハードルだったスプリントの高速無線通信子会社クリアワイヤも、買収対抗馬だった米ディッシュ・ネットワークに全面勝利する形で当初見込み通り傘下に収めた。足もとの投資負担は大きいものの、米国という巨大市場で夢のような業容拡大に向けた布石を整えつつあることは、国内外の機関投資家にも魅力的に映るはずだ。

 また、同社が約37%出資する中国EC最大手アリババ集団の上場観測も刺激材料となっている。現時点で明確な動きはないものの、「遅かれ早かれ香港かニューヨーク(場合によってはそれ以外も含め)上場への動きが出てくることは必至」(市場関係者)とみられ、株価をさらなる高みへと引き上げる上昇エンジンとなる可能性が高い。
〝上げ賛成〞ムード
 「同社株に対しては株式市場全体でも上げ賛成的なムードがある」(国内ネット証券)ことも強みだ。目先は1万円大台を前に9000円台絡みで瀬踏みを繰り返しているが、それに鞭を入れるような証券系調査機関各社からの目標株価引き上げの動きが相次いでいる。

 年明けに野村証券はこれまでの1万50円から1万420円に、メリルリンチ日本証券は1万100円から1万1280円へ引き上げており、ターゲットプライスの修正幅自体は小さいが、共通していえることは、1万円というフシ目を通過点と捉えていることだ。そしてこれは、紛れもなく今の市場のコンセンサスと合致している。

 「上場後の株価推移への期待も含め、アリババ集団の時価総額拡大がソフトバンクにも少なからぬ好影響を与えることは濃厚」(中堅証券)であるほか、直近浮上しているTモバイルUSの買収思惑も、米国でのビジネス展開を行ううえで新たな評価材料となりそうだ。

 なお、みんかぶが発行している証券情報専門紙「日刊株式経済新聞」が市場関係者に対して実施した「2014年相場見通しアンケート」では番外としてソフトバンクに対してのコメントも求めた。そのなかでは強弱感が対立していたが、やはり1万円をひとつのフシ目とみる向きが多かった。また、強気コメント筆頭では、「時価総額でトヨタ(22兆円弱)に迫り、将来的には抜く可能性もある」とする声もあった。