大規模なスト再発リスクに怯える南アフリカのプラチナ鉱山業界

交渉のために残された時間は少ない
1月の貴金属市場では、プラチナ相場の高騰が目立っている。ドル建て相場を年初来の騰落率でみると、金・銀・パラジムがそれぞれ4~5%程度の値上がりになっているのに対して、プラチナは約7.6%の急伸となっており、約2ヶ月半ぶりの高値まで上昇している。

金価格とプラチナ価格の価格差(=プラチナ価格-金価格)も、昨年末の170ドル前後から足元では220ドル台まで広がっており、貴金属市場の中でプラチナ相場のパフォーマンスが向上しているのは明らかである。

背景にあるのは、南アフリカで今週中に再び大規模なストライキが発生するリスクだ。

南アフリカでは、昨秋から鉱山会社と労働組合が賃上げを軸とした労使交渉を本格化させている。一部労働組合は同国のインフレ率を上回る賃上げ案の提示を受け入れたが、主要労働組合である鉱山労働者・建設組合(AMCU)は未だ合意点を見出せない状況が続いている。

昨年は仲裁機関での調停も行われたが、両者の主張の隔たりが解消されない中、AMCUは1月23日から主要なプラチナ鉱山でストライキを決行すると通告している。アングロ・アメリカン・プラチナ、ロンミン、インパラ・プラチナなどの主要鉱山会社で一斉ストライキが実施されると、少なくとも7万人規模が就業を拒否するとみられている。

プラチナ供給は、南アフリカ1カ国で世界の7~8割をカバーする寡占市場にあるため、今後の展開次第では自動車関連メーカーや工業プラント建設などに影響が生じる可能性もある。しかも、今回はアングロゴールド・アシャンティなど金鉱山でも同時ストライキが検討されており、2012年型の大規模な労働争議に発展するリスクが高くなっている。

まだ鉱山会社側は対話への期待を示しているが、スト回避までに残された時間は限られており、21日と22日に具体的な進展が見られなければ、プラチナ供給は大きなダメージを受ける可能性が高い。12年当時との比較では、鉱山会社が手元在庫の拡充に動いているため、ストライキに対する抵抗力は強くなっている。しかし、こうしたストライキを前提にしなくても14年の世界プラチナ需給バランスは3年連続の供給不足となる可能性が高い状況にある。こうした中、労働争議に基づく減産はプラチナ需給を一段と引き締めることになりかねず、そうした危機感が足元のプラチナ価格に反映されている。