米天然ガス価格、2年半ぶりの高値更新

~シェール革命も寒波には勝てず~
北米の記録的な寒波を背景に、天然ガス価格が高騰している。NYMEX天然ガス先物相場は、1月22日終値で100万mBtu=4.689ドルとなっており、2011年6月以来となる約2年半ぶりの高値を更新している。

年明け後は、「間も無く北米の寒波が一服する」との観測から天然ガス相場に対しては下押し圧力が強まり、1月10日には一時3.953ドルまで軟化していた。しかし、その後は気温上昇見通しが完全に外れたことで、天然ガスの市場参加者は一種の「カウンターパンチ」を食らった形になり、需要見通しの修正がそのまま天然ガス価格の高騰につながっている。

米東海岸では最大30センチの積雪が観測されており、一部政府機関の閉鎖や航空便の決行など、経済活動にも大きな影響が見受けられる。北極付近の冷たい空気が偏西風によって全米に流れこんでおり、フロリダ州など南部でも氷点下が観測され始めている。こうした寒波は少なくとも来週まで続く見通しであり、暖房用のエネルギー需要が拡大するとの観測が、天然ガス価格を押し上げている。

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米国ではシェールガスの大規模増産によって、天然ガス価格を大きく押し下げることに成功している。2008年には一時11ドル台まで高騰していたが、その後は段階的に値位置を切り下げ、12年以降は4ドル近辺での取引が続いている。天然ガス需給は安定化しており、輸入量の削減や輸出拡大などを行う余裕さえ生じている。

しかし、冬場は天然ガス需要が急増することで、この時期に限定すると米国内でさえ天然ガス需給は供給「不足」状態に陥ることになる。米エネルギー情報局(IEA)によると、全米の天然ガス在庫は11月中旬から9週連続で減少しており、過去2ヶ月で約3分の1が喪失されている。

これは季節トレンドに沿った動きであるが、今年は寒波によって需要が例年以上に底固く推移しており、在庫減少ペースは平年のトレンドを大きく上回っている。1月10日時点の在庫は過去5年平均で2兆7,110億立方フィートとなっているのに対して、今年は2兆5,300億立方フィートに留まっており、「シェール革命」後としては最悪の需給環境になっている。

あくまでも寒波に反応しているだけの天候相場であり、再び気温上昇見通しが強まれば容易に下落することが予測される。ただ、2年前のこの時期と比較すると2倍近い高値が示現しており、今後も寒波が続くと国際天然ガス市況に対しても無視できない影響が生じることになるだろう。