世界十大リスク

リスク浮上中
 バイロン・ウィーンの「びっくり10大予想」と共に、年初に注目されるのがユーラシア・グループの「世界の十大リスク」だ。今年は、

1位:AMERICA’S TROUBLED ALLIANCES(米国の同盟危機)
2位:DIVERGING MARKETS(新興国デモ・新興6カ国で実施される総選挙)
3位:THE NEW CHINA(新しい中国)
4位:IRAN(イラン)
5位:PETROSTATES(石油大国)
6位:STRATEGIC DATA(戦略的データ)
7位:AL QAEDA 2.0(アルカイダ)
8位:THE MIDDLE EAST’S EXPANDING UNREST(中東の混乱拡大)
9位:THE CAPRICIOUS KREMLIN(ロシア政府・プーチン大統領)
10位:TURKEY(トルコ)

となったが、既に表面化しているリスクも増えている。

 安倍首相が講演を行ったダボス会議には、米国はオバマ大統領を始めとしてFRB議長も国務長官も参加なし。シリア問題の際にオバマ大統領が「米国は世界の警察官ではない」と言ったように、米国の内向き姿勢は継続している。シェール革命によって経済の復活の兆しが見え始めている米国だが、オバマ大統領のレイムダッグ化が世界的な地政学リスクに結びつく可能性は想定しておきたい。先週、ルー米財務長官から円安牽制発言があったが、TPP問題や中間選挙に向けて、牽制発言の回数が増えてきた場合は、ドル円のトレンドを考える際には注意すべきであろう。過去のドル円のメイン・トレンドを決定しているのは米財務省との見方も依然として強い。

 2月に選挙が予定されているタイは昨日、非常事態宣言を発令している。ゴムの最大生産国であり、季節的なゴムの減産期に入る時間帯を控え、ゴム価格に与える影響が懸念される。同じく今年選挙が控えている南アフリカでは、南ア鉱山建設労働組合連合(AMCU)が、大手三社にストライキ通知を出し、本日からストライキに突入予定。大手3社(アンプラッツ、インプラッツ、ロンミン)で、生産高の約70%を占める。ストには南ア鉱山労働者の20%に相当する10万人前後が参加する見通し。ストライキが長期化してくるようなら、白金系貴金属の大幅上昇要因となるだろう。

 イランは昨年11月、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツを加えた6ヶ国との間で、経済制裁の一部緩和と引き換えに核開発活動を縮小することで暫定合意。20日から合意の履行が始まっているが、ダボス会議に出席したイランのザリフ外相は22日、核開発問題を巡る暫定合意に関するオバマ政権の説明は誤っており、核施設の解体や核技術の放棄には同意していないと述べた。ホワイトハウスはこの合意について、「5%を超える核濃縮に必要な関連技術の放棄」も含まれるとしていたが、「ホワイトハウスは(合意が)基本的にイランの核開発計画の放棄につながるかのように語っている」と外相は述べ、合意文書には、そのような言葉は使われていないと指摘した。米国が中東への関与を薄める中、イランに対してのイスラエルの単独攻撃リスクも要警戒だ。

 3位にランキングした中国だが、先週末に中国商工銀行ICBCが販売代理などを手がけたウェルス・マネジメント・プロダクト(WMP、理財商品)がデフォルトの危機に陥った事が懸念されたが、中国人民銀行が今週、短期金融市場に2550億元(420億ドル)超を供給。春節前の資金需要が高まる中、一旦は、信用収縮の再発懸念は和らいだが、英ガーディアン紙は21日、中国の習近平国家主席の義兄や、温家宝前首相の息子、温雲松氏を含む中国指導部の親族ら少なくとも十数人が、タックスヘイブン(租税回避地)の英領バージン諸島の企業を資産管理に活用していると報じた。バージン諸島のタックスヘイブンへは中国から2000年以降、1兆~4兆ドル(約104兆~約417兆円)の資産が流出していると推計している。
 腐敗改革が進むのが早いか、民衆の不満の高まりが増すことが早いか、国内不平・不満を反日にすり返る手法も限界と危うさが内包する中、張成沢氏が公開処刑された北朝鮮と言う波乱要因も浮上しており、アジア地区の地政学リスクの行方には注意だ。

 来月には、ソチオリンピックが開催されるが、相次ぐテロ対策への不安感も大きい。昨年はドル高・株高を背景に資金流出が顕著だった金(GOLD)だが、世界の10大リスクを考慮すると、南アや世界全体の生産コスト水準の1200ドル前半を売り叩くのは困難かもしれない。金価格に対して弱気予想が増えてくる中、「安全資産」としての種が、徐々に蒔かれているのかもしれない。