新興国通貨危機

アルゼンチンに端を発する新興国通貨安
昨年来からの新興国から先進国への資金の流れが加速、先週後半はアルゼンチン、トルコ、南アフリカ、ロシアなどの通貨が大きく売り込まれた。
トルコリラは24日、対ドルで2.336リラと、史上最安値を更新した。リラは昨年来、政情不安、シリア問題、汚職で複数の閣僚が辞任、経常赤字、景気悪化などの悪材料が続き、最安値を更新し続けている。
インドルピーやベネズエラボリバルなども昨年来、史上最安値をつけている。

一方、日銀、欧州中銀、イングランド銀行、スイス国立銀行の各中央銀行は24日、米ドル資金供給オペを5月から段階的に縮小し、7月末で終了すると発表した。米ドルの調達環境が安定していることなどが理由だ。
これで見る限り、主要国の中央銀行は、新興国の危機が世界危機に発展する可能性を懸念していないことになる。

通貨安の恩恵は大きい。リーマンショック後の通貨の大量供給により、米ドル、ユーロが安くなり、まず米欧の景気が債券高、株高、不動産価格上昇などを背景に上向いた。
とはいえ、ユーロはドイツには安かったが、南欧諸国には十分には安くならなかった。
南欧諸国の立ち直りが遅れているのは、そのことも影響している。

その後、通貨高に苦しんだスイスが通貨高阻止政策に動き、日本も量的緩和という円安につながる政策を採った。
新興国通貨は相対的に高くなり、苦しくなってきたというのが私の見方だ。

経常赤字が膨らむなど、景気が悪化してくると、金利も下がり、通貨が売られるようになってくる。
そのことでコストが下がり、競争力が回復する。つまり、新興国の通貨安は必ずしも悪いことではないのだ。もっとも少なからずの国々はインフレ率が高いので、通貨安は国民の生活を圧迫することになる。

新興諸国の問題を軽く見積もると危険だが、深刻になれば米連銀や主要国の緩和政策が継続する。
いずれにせよ、日本株を含め、資金の先進国への流れは止まらないと見ている。