波乱相場に気を吐くバイオ関連

「STAP細胞」で軒並み急動意
 30日の東京株式市場は、新興国経済に対する不透明感を背景に再び大きく売り込まれる展開となった。日経平均株価は一時530円の下げ幅を記録、株価指数先物主導による日替わりの乱高下とはいえ、下値に対する投資家の不安心理が色濃く映し出されている。しかし、そうしたなかで異色の上値追いをみせたのがバイオ関連株の一群だ。その原動力となったのは〝第3の万能細胞〟として急浮上した「STAP細胞」の存在だ。
iPSより効率よく作製PSより効率よく作製
 売り一色を思わせる30日の東京市場にあってマーケット関係者の耳目を驚かせたのが、全体の地合いとは無縁のバイオ関連株の物色人気である。

理化学研究所などが、様々な臓器や組織の細胞に育つ「万能細胞」の作製にマウス段階で成功したと発表したことから、新日本科学(2395)、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(7774)、コスモ・バイオ(3386)、セルシード(7776)、DNAチップ研究所(2397)、メディネット(2370)など、これまでiPS細胞関連に位置付けられてきたバイオベンチャー各社の株価が軒並み急騰した。

理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーらが、米ハーバード大学や山梨大学との研究で、簡単な刺激で臓器や組織に成長する多能性を有する万能細胞を作製できる可能性を示した。「STAP細胞」と命名された同細胞はiPS細胞よりも短期間で効率よく作製できるとされ、今回の研究の成果に対する市場の注目度もがぜん高まりをみせている。
iPS細胞に続く新たなステージ
 今回の発表はマウス段階での成功に過ぎず、実際のところ実を結ぶまでには時間がかかる話ではある。これが人間の細胞から作製できるのかどうかについても現時点では未知数だ。

しかし、マーケット関係者の間では「思惑先行の部分はあるものの、確固たる評価を確立したiPS細胞でも実用化にはまだいくつものハードルがあるわけで、それほどの差はないとの見方もできる。報道する側も含めて今後の動向に必然的に敏感になる」(国内証券アナリスト)と前向きな意見も多い。個人投資家の売買で強みを持つ国内ネット証券大手の店内でも「最近はネット関連に資金が偏っていたが、きょうは流れが変わったといえるほどではないが、バイオ関連株にも資金が向いている」とし、個人投資家の関心の高さをうかがわせる。

京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長らが進めてきた再生医療分野の研究において、新たな展開をもたらす可能性が浮上したことで、バイオベンチャー各社のビジネスチャンスにも広がりが出てきたことは確かなようだ。既に国はiPS細胞など再生医療分野の実用化研究に向こう10年間で1100億円を投じる構えにあり、これに携わるバイオ関連企業にとっては業績を変貌させるに十分な追い風となっている。
タカラバイオ、本命の座揺るがず
 個別では、新薬開発支援を行い前臨床では国内最大手である新日本科学や、皮膚など再生医療製品を開発するジャパン・ティッシュの存在は大きい。また、DNAチップを用いた再生医療の研究支援や遺伝子受託解析を行うDNA研や医療用細胞シート開発を手掛けるセルシードも関連最右翼に位置する銘柄としてマークされている。

このほか、遺伝子工学を生かした治療の実用化に取り組み、iPS細胞の作製受託を手がけるタカラバイオ(4974)は、京都大学iPS細胞研究所に作製に必要なDNAを提供している実績から、中期的にも本命としての座は揺るがないだろう。