先週からの、グレート・ローテーションの巻き戻し

先週後半からのアンワインド
先週後半から顕著になった、株安債券高ですが、いわゆる長いグレート・ローテーション(債券売り、株買い)の途中に都度発生する、アンワインド(巻き戻し)の性格があると考えられます。
果たして、株安と円高が一段と進行する可能性があるのかどうか、投資家にしてみれば一番気になるところでしょう。
はしごをはずされた、日銀の景気判断
安倍政権としては、政権の支持率に大きな影響を与えかねない株価の動向に神経をとがらせているようです。
もともと22日の日銀の金融政策決定会合では、米国で財政協議が進展し、金融緩和の縮小が市場に混乱を引き起こすことなくスタートしたことでもあり、またこれによって米国経済の不確実性が低下した、という認識から、世界経済の先行きについての判断を小幅上方修正をした経緯があります。
昨年12月の決定会合まで、声明文に記載されていた「世界経済を巡る不確実性は引き続き大きい」という文言を削除したばかりです。
97-8年のアジア通貨危機の違い
しかし、この声明文が「はずれた」「誤断」だったと言うのは、まだ時期尚早でしょう。
米国景気に変調があるというのであれば問題ですが、97-8年のアジア通貨危機のときと同様に、米国のファンダメンタルズは順調で、危機に際しては、最後の最後まで米国市場だけが独走して上昇しました。
日本は、世界のマネーのアンワインドを受けて、円高に見舞われ、大きく日本株も下落したのですが、今回は、日本の方針も明確であり、具体的に政策を打っているわけですから、97-8年と同じに見ることはできません。

米国という機関車のエンジンがまともに駆動している以上は、世界的な恐慌状態にならないということは、97-8年にすでに証明済みのことですから、アルゼンチンにしろ、南アにしろ、はたまたトルコにしろ、今後の日本株投資にとって、ほとんど問題になることは無いと判断しています。
この下げの元凶は誰か?~またしても、ヘッジファンドか
個人的に非常に気になっているのが、ヘッジファンドの動向です。
ヘッジファンドが、ここ2年、パフォーマンスが思わしくないことはご存知の通りです。
先週23日から、急速に世界的に株価が下げ足を早めた理由が、新興国市場の危機感というものですが、元凶がどこにあるのかと考えた場合、一つ想定できるのはヘッジファンドに投資している大口投資家が、ヘッジファンドから資金を引き上げているという可能性はないでしょうか。
これが始まっている可能性はあるかもしれません。
その場合、一番脆弱な新興国に運用資金を投入している部分が、換金売りのために引き上げるという動きが出て、それが新興国の金融市場の混乱、通貨の急落などを引き起こしたとも考えられます。
5月に中間期末を迎えるヘッジファンドが多いわけですが、毎月45日ルールが適用されているとしたら、今月後半に入ってかなりの規模の換金売りが出たと解釈できないでしょうか。

つまり、ヘッジファンドの利益確定と言うよりは、最終投資家による資金の引き上げによって発生したファンドの換金売りが下げの実態とも想像できると思います。
これは、あくまで観測ですから、裏づけがあるわけではありません。継続チェックが必要でしょう。
そもそも、ほんとうに金融・経済は動揺しているのか
今回の新興国通貨安問題が、実はそれほど深刻ではない、という大きな傍証があります。
それは、こういうときに大きく変動するはずのスイスフランには、ほとんど動揺した様子がありません。
ということは、かなりテクニカルな資金需給によるものであって、ファンダメンタルズを揺るがすような代物ではない、ということではないでしょうか。
連銀も、この通貨安問題を無視しているくらいですから、やはり考えられる一つの要因としては、単なるパフォーマンスで追い詰められたヘッジファンドの換金売りにすぎないのではないか、と想像します。

そもそも、アルゼンチンなどいい例ですが、株式市場は大変なことになっていると思いきや、まったく下がっていないという事実からすると(しかも、昨年最高パフォーマンスを出しています。)、やはり、そもそも問題にならない、ということではないでしょうか。

トルコは、さすがに、ご存知のように死傷者も出るような政治騒乱の中にありますから、長期的な下落相場になっていることは致し方ありません。
が、もう一つ、アジアではインドが一番最初からこの自国通貨安で大変でした。
しかし、インドのムンバイ指数も、まったく下落していないという事実があります。
ここに、通貨安でも当該国家の株式市場が暴落していないという点は、見過ごされがちですが、97-98年危機とは決定的な相違点といっていいでしょう。
どこを押せば、危機があるのか、97-98年当時の通貨危機とまったく状況が違うということは、一目瞭然ではないでしょうか。