通貨供給と為替レート

ECBの金融政策の行方
欧州中央銀行のクーレ専務理事は31日、政策金利がゼロの場合でも、中銀にはインフレを目標水準に引き上げるための手段があるとの認識を示した。専務理事は「中期的な物価安定に下方リスクが生じた場合、名目金利にゼロの下限という制約があったとしても、利用できる金融政策手段はある」と述べたようだ。

利用可能な政策手段の具体例には踏み込まなかったようだが、預金準備率の引き下げや、量的緩和であることは明らかだ。

政策金利にゼロという下限の制約があることを表明したことは正直で良い。ここで、政策金利の対象となる銀行が貸出に消極的であれば、ゼロにしても銀行の借入れは伸びない。あるいは、国債ばかりが買われてしまう。仮に預金準備率をゼロにしても、銀行が貸出に消極的であれば同じような結果となる。

その点、量的緩和は力技なので、何かの値段はあがる。その場合、供給力の大きいモノやサービスより、株や債券などの金融商品の方が上がる。いわゆる資産インフレだ。この時、債券にはゼロ利回りという制約があるが、株価にはない。

まだユーロ諸国を含む主要国の株価は、上昇余地を十分に残していることを示唆する発言と捉えていい。

一方、通貨供給だけが為替の変動要因ではないが、ユーロの供給が増えると、2012年半ばから1.40を目指してきたユーロ高ドル安のトレンドが変わり、再び1.20方向へと転換する要因となる。ユーロ円は日銀の異次元緩和との綱引きとなる。