独憲法裁判所、ECBによる債券買入れ判断を欧州裁判所に付託

判断には1~2年かかる見通し
金曜日夕方に「独憲法裁判所、ECBによる無制限の債券買い入れ策(OMT)をめぐる訴えについて、欧州司法裁判所(ECJ)に付託」というニュースが流れました。

OMTはスペインなど南欧諸国の国債が下落して資金調達の不安が台頭したことから、2012年9月に発足した制度で、資金調達に障害が出ているEU加盟国の「償還まで1-3 年の国債を対象にECB が妥当とするまで無制限に買入れを行う」というものです。このOMTの発表をきっかけに、1.26台だったユーロドルは約5か月で1.37台まで上昇しました。

独憲法裁判所は「(OMTは)ECBの金融政策の責務を超えており、そのため加盟各国の権限を侵害し、財政ファイナンス禁止に抵触すると推定する重大な理由がある」と合法性に疑念を示しましたが、一方で「債券買い入れ策の決定を限定的に解釈すれば合法的とみなすことも可能」として判断を回避した形になっています。

独憲法裁判所の立場としては、独国内法では違法の可能性は高いものの、EUの問題であるから判断を確定する立場にはない、という事で、ECJに付託するという形になったのだと考えられます。

ECJは、よりもEU利益を優先する判断を下すと見られていて、この問題に関しても独憲法裁判所の判断を参考にはするものの、最終的に「違法」という判断を下す事はない、と予想されています。

しかし一旦上記のような意見が独憲法裁判所で示されたあとだけに、ECJの判断が出るまでは、実際にOMTを実施する事は、非常に難しくなったと考えられます。

ただ、現在は2012年秋とは異なり、近い将来スペインなどの国債が暴落して資金調達が困難になる、という差し迫った危機感はありませんので、独憲法裁判所の判断が原因でユーロが大きく売られるという状況ではありません。

なおECJの判断に関しては、少なくとも1年、場合によっては2年程度かかるのでは、と見られていますので、その間に再び欧州の財政懸念に注目が集まるようなきっかけがあれば、ユーロ売りの材料にされるかもしれません。