「6年後に再び1ドル=80円台」はあるか?

経常黒字、貿易黒字と日米金利差次第
大手の経済研究所が「6年後に再び1ドル=80円台」という警鐘を鳴らした。内容は読んでいないが、通貨取引の専門家としての私見を述べておこう。長期為替を見る場合には、ヘッジファンドなどの投機筋の動向は考慮に入れなくていい。それほど長くポジションを維持することは皆無といっていいからだ。同様に目先の材料も無視していい。

まず、これまでの円高要因だが、サブプライムショック、リーマンショック以降は、米欧の金融緩和による通貨安政策の要因が最も大きい。それより長い根っこの要因は、経常黒字と貿易黒字だ。このうち、経常黒字は必ずしも実際の円買いが出る訳ではないが、モノやサービスにからむ貿易黒字は円買い需要を伴う。現在、累積の経常黒字は400兆円を超え、累積の貿易黒字は250兆円ほどあるので、潜在的な円高圧力が消えた訳ではない。

一方、年間ベースの貿易収支では、2011年から赤字に転換した。2011年10月にドル円は75円台の大底をつけるが、貿易赤字が底打ちの要因になった可能性は大きいと見ている。輸入の外貨買いは商品購入の支払いなので、待ったなしだからだ。私は天然ガス輸入拡大などによる貿易赤字のマイナス面と、円安が日本経済全体に与えるプラス面とを比べると、圧倒的にプラス面が勝ると考えている。

その後は、日米金利差の拡大も見られ、ドル円の反転が確認できた形となっている。また、日銀の異次元緩和による円供給も、円安に繋がっている。

「6年後に再び1ドル=80円台」があるとすれば、2011年にドル円が大底をつけた要因が反転する時だ。つまり、経常黒字、貿易黒字の再拡大と、日米金利差縮小あるいは逆転が起きる時だ。

貿易黒字が拡大するとすれば、原発再稼働で燃料輸入が減少し、海外の景気拡大で輸出が大きく伸びる時かと思う。しかし、輸出が伸びている時に、米金利が低下していることは考えにくく。原発再稼働が本格化した時だけがと、円高リスク再燃の時かと思う。