悲惨指数

インフレで確実に得をするのは?
悲惨指数(Misery Index)というものがある。

米国の経済学者アーサー・オークン(Arthur M. Okun, 1928-1980)が提唱した、国民の経済的な苦痛の水準を表すという指標で、消費者物価上昇率と失業率の絶対値を足した数値だ。米国では、大統領選の時に特に注目され、同指数が10.0を超すと現政権の経済政策は間違っているとして、現政権の継続が困難になる傾向があるとのことだ。

現状の日本の場合は、OECD基準の1月の消費者物価指数が1.4%、1月の完全失業率が3.7%だから、足した悲惨指数は5.1と、10.0には程遠い。この点は問題がない。

ここで注意を促しておきたいのは、どちらの数値も上昇すれば、国民の生活が悲惨な状態に近付くということだ。失業率の上昇で生活が苦しくなることに異論はないと思うが、消費者物価の上昇でも生活が苦しくなるのだ。

では、政府の採っているインフレ政策とは何だろう?

私は国民所得が上がり、需要が増えることによるインフレは問題がないと言い続けている。しかし、所得増を伴わないインフレは悲惨につながるのだ。どう考えても当然のことに思えるのだが、こちらには異論が多い。インフレ政策で企業業績が上がる、税収が増えるといったものだ。しかし、それも国民の生活が苦しくなって経済が落ち込めば、一時的な増収に終わる。

インフレで確実に得をするのは、大きな債務を抱える人だ。借りた時より、返す時の通貨の価値が下がるからだ。日本で最も大きな債務を抱えるところが財務省であることを鑑みると、すべては納得がいく。

国民にとっての救いは、モノのインフレよりも、資産インフレの方が早くきて、上げ幅も大きいことだ。また、政府も資産インフレが景気拡大につながることを期待している。現状で起きていることは、円安効果とまさしく資産インフレ効果なのだ。

政府のインフレ政策下で、国民が自分の身を守るためにできることは、資産インフレに乗ることだ。