地政学的リスク

投資家の地政学的リスクへの懸念が急上昇
バンカメ・メリルの直近の調査では、投資家の81%が地政学的リスクを懸念していると分かった。
2月調査の4倍にもなるという。
実際に、先週はリスクオフによる円キャリートレードの巻き戻しで、円高、株安となった。現状の主な地政学的懸念はウクライナ情勢だ。

一方、18日の世界の株式市場は、ロシアのプーチン大統領がクリミアの併合を表明した後、これ以上、ウクライナの割譲は行わないと発言したことを好感し、軒並み上昇した。S&P500株指数などは、史上最高値に迫って引けた。
フィナンシャルタイムズは、「ロシアは(剣ではなく)ペンでクリミアを併合」したとの記事を見出しにした。クリミアは軍事的な意味合いだけでなく、特殊な事情でロシアからウクライナに割譲したいきさつや、ロシア系住民が大多数ということもあり、プーチン大統領が何としても取り返したかった地域だ。

欧米はロシアが力づくでクリミアを占拠したと攻撃しているが、むしろ力づくで政権を奪ったのはウクライナ暫定政権で、クリミアでは武装勢力が政権奪取をしたものの、その後は民主的な住民投票が行われた。
賛成票の高さから不正を疑う声もあるが、約24%のウクライナ系住民の大半がボイコットし、ロシア系、タタール系が賛成票を入れたとすれば、ごく自然な数値だ。ウクライナは経済的に破たんしているので、ウクライナ系が賛成票を入れた可能性すらある。
なにしろ、20年前ほど前までは同じ国で、プーチン政権とウクライナ暫定政権との選択肢ならば、十分に考えられるのだ。

ヤヌコビッチ前大統領は暫定政権に比べれば親ロシアではあったが、一時は欧州寄りを表明したり、私腹を肥やすなど、プーチン大統領のお気に入りであったとは言いがたい。
クリミア割譲に至った結果から見れば、ヤヌコビッチ政権転覆のきっかけとなった流血デモは、プーチン大統領に格好の口実を与えたことになる。
デモを支援していたのは欧米だけとは限らない。私は大きな騒動にはならないと見ている。