経常赤字の何が悪い?

過去最大の経常赤字
2014年1月の経常収支は1兆5890億円の赤字だった。前年同月比では赤字額が1兆2406億円増えた。赤字額は前月の6386億円を抜き、過去最大となった。貿易収支は2兆3454億円の赤字だった。
2013年通年の経常収支は3兆3061億円の黒字。貿易収支は12兆2349億円の赤字(モノが8兆7456億円の赤字、サービスが3兆4893億円の赤字)だが、所得収支が15兆5410億円の黒字で、差し引きでは経常黒字となった。

このまま2014年の経常収支が赤字になると、1980年以来のこととなる。財政赤字と合わせて、双子の赤字となり、日本凋落の象徴だとも言われている。果たしてそうだろうか?

まず、経常収支とは何かを復習しよう。
財務省のホームページによると、「経常収支」とは、「貿易・サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計」だと説明している。
また、「資本収支及び外貨準備増減に計上される金融取引等の資本の取得・処分に係る取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支の状況を示す」とある。

この但し書きを整理してみよう。

「居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況」から、「経常収支」を差し引くと、「資本収支及び外貨準備増減に計上される金融取引等の資本の取得・処分に係る取引」が残る。
つまり、「居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引」という「国境を超える資金の取引」は、

1)貿易・サービス収支
2)所得収支
3)経常移転収支
4)資本収支
5)外貨準備増減

の5つがすべてだということが分かるのだ。

クロスボーダーの資金取引のうち、
1)貿易・サービス収支
2)所得収支
3)経常移転収支
の3つが、経常収支に含まれる。
これがどうして大事かと言うと、円需要、外貨需要を網羅しているので、実需がらみの円高、円安要因がすべて見られるからだ。

もっとも、資本収支には為替がからまない外貨調達・外貨運用が含まれるので注意を要する。
また、3)経常移転収支は「官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払などの収支を示す。居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示しています。」とあるので、これは無視していいだろう。
経常黒字は33年連続
2013年通年の経常収支は3兆3061億円の黒字。貿易収支は12兆2349億円の赤字だが、所得収支が15兆5410億円の黒字で、差し引きでは経常黒字となった。
日本の経常黒字は33年連続で続いており、統計がある1966年からの累積では400兆円にも積み上がっている。私はこれを潜在的な円買い圧力だと見なしている。

もっとも、クロスボーダーの資金取引のうち、「資本収支」や「外貨準備増減」は円売り圧力となっているので、差額ではそんな数値にはならないが、この圧力が1966年時点の360円から、今日の100円近辺まで円が上昇した主因だと見ている。

財務省のホームページでは、経常収支に含まれる3つの収支を以下のように説明している。

1)貿易・サービス収支

貿易収支及びサービス収支の合計を示し、実体取引に伴う収支の状況を示す。

1-1)貿易収支

財貨(物)の輸出入の収支を示す。
国内居住者と外国人(非居住者)との間のモノ(財貨)の取引(輸出入)の収支状況を示します。

1-2)サービス収支

サービス取引の収支を示す。

(サービス取引の主な項目)
輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払
旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払
金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払
特許等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払

2)所得収支

居住者と外国人(非居住者)との間の賃金・給与等の受取・支払(雇用者報酬)のほか、居住者が非居住者に対して有する金融資産(出資、貸付、預金等)から生じる利子、配当金等の受取(投資収益/受取)と、非居住者が居住者に対して有する金融資産(出資、貸付、預金等)から生じる利子、配当金等の支払(投資収益/支払)を合計した収支状況を示しています。

(投資収益の主な項目)
直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払
証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払
その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払

3)経常移転収支

官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払などの収支を示す。
居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示しています。