「映画『この世界の片隅に』の資金調達が成功した本当の理由(1)」サイバーエージェントCF・中山社長に聞く!<直撃Q&A>

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 昨年11月から上映され観客動員数200万人前後の大ヒット映画となった「この世界の片隅に」(片渕須直監督)。戦時中の広島県を舞台とする同映画が上映にこぎつけるまでに重要な役割を果たしたのが、サイバーエージェント<4751.T>傘下のサイバーエージェント・クラウドファンディングが展開するクラウドファンディング(CF)事業「Makuake(マクアケ)」だ。難航していた同映画の資金調達を成功に導いたモノとは何だったのか。同社の中山亮太郎社長に聞いた。

Q1 映画「この世界の片隅に」の資金調達にクラウドファンディング事業の「Makuake」が深く関係しました。同映画が上映に至るまでの経緯を教えてください
  
中山 映画の企画自体は2010年ごろからあり、その頃から資金繰りに動いていたようです。ただ、(戦時下の広島が舞台という)作品の性格上ゲーム化やパチンコ化するわけにもいかず、マネタイズ(収益化)が難しく、資金繰りには悩んでいたようです。もっとも、原作の世界観は素晴らしく、クオリティーの高い作品が見込めるだけに、「世界観がしっかり伝われば出資者は集まる」という見通しはつきました。そこで、試作品の短編フィルムである「パイロットフィルム」の制作資金を当社のMakuakeを使って調達することになりました。映画の完成版のエンドロールに名前が載るということを条件に、2015年3月から2160万円を目標に支援者を募りました。その結果、2カ月で3374人から4000万円近いお金が集まりました。これは金額、スピードともに想定を上回るものでした。

Q2 どんな方々が出資してくれたのですか?

中山 作品の舞台である広島にゆかりのある方、片渕監督と原作者で漫画家のこうの史代さんのそれぞれのファンの方々が主な出資者でした。年齢層も他のプロジェクトに比べて比較的高めでした。片渕監督がたびたび広島に現地調査に行っており、広島に応援者のコミュニティーもできていたようです。結果として、まだ観たこともない作品に対して、平均して1万円以上払う人が3000人以上いたことになります。これは、普通では考えられないお金の使われ方でした。

 このクラウドファンディングでの資金調達の成功をみて、投資を検討していた法人も制作委員会に出資しやすくなり、上映までスケジュールが前倒しになる効果もありました。映画の配給サイドもクラウドファンディングで集めたお金をベースに作られた作品であることを、上映当初はプロモーションで活用していました。しかし、映画がヒットするとともに作品そのものに焦点が集まり、次第に作られ方はあまり注目されなくなりました。けれども、まず映画上映にまで漕ぎつけ土俵に乗る、火をつけるという意味でMakuakeが重要な役割を果たしたことは間違いないと思います。

※「映画『この世界の片隅に』の資金調達が成功した本当の理由(2)」へ続く