「17年度上期、スマホ業界の動向は?」ケータイWatch湯野康隆編集長に聞く!<直撃Q&A>

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 16年度のスマートフォン(スマホ)業界は、市場の成熟化も囁かれるなか、仮想移動体通信事業者(MVNO)の格安スマホの成長が続いた。また、17年度上期の登場が予想される米アップルの「iPhone8」が市場の活性化を果たすとの期待も強い。スマホ業界の今上期の見通しについて、インプレスホールディングス<9479.T>傘下で携帯電話業界専門ニュースサイトを運営する「ケータイWatch」の湯野康隆編集長に聞いた。

Q1 前年度のスマホ業界を振り返って感想を聞かせてください。また、17年度上期の注目点は?

湯野 総務省が15年に実施した「タスクフォース」を通じた議論で、料金引き下げの方針が打ち出されるなか、各キャリアはスマホの値引き販売がしづらい状況が続いています。このなか、16年度もスマホ端末の出荷が伸び悩むなど難しい局面を迎えました。その一方、格安スマホを販売するMVNOが伸び、新たな市場を開拓しています。大手キャリア系では、ソフトバンクグループ<9984.T>のY!mobile、KDDI<9433.T>のUQモバイルといったサブブランドが成長しています。これまで、日本のスマホ市場は、ハイエンド機種でないと売れないと言われてきましたが、ミドルレンジの機種の市場が育ちつつあります。ユーザーも料金プランを考えて機種を選ぶようになっています。17年度上期もこの傾向は続くと思います。

Q2 スマホ業界にテクノロジー面で新たな動きは出てきそうですか?

湯野 今年もスマホの夏モデルが出てきますが、それほど大きな変化はないと思います。とは言え、新たなトレンドは姿をみせつつあると思います。今年の年初に米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES」では、スマホにAI(人工知能)サービスを一段と取り入れていく方向性が見えました。米アマゾン・ドット・コムの「アレクサ(Alexa)」や米グーグルの「グーグルホーム」などのようなAIによる音声アシスタントサービスを活用する動きが本格化しつつあります。韓国のサムスン電子は音声アシスタント「ビックスビー(Bixby)」を開発しましたし、LINE<3938.T>はAIプラットフォームの「クローバ(Clova)」を発表しています。

 今後、スマホでAIを活用した音声認証による電子商取引(EC)が動き出す可能性もあります。まだ、課題は多いようですが、5~10年先には「スマホ業界では17年頃にAIによる音声アシスタントを本格的に活用する第一歩が始まった」と言われているかもしれません。

Q3 アップルの新型iPhoneには期待していいのでしょうか

湯野 アップルは毎年9月に新機種を発売しており、今年は「iPhone8」の登場が予想されています。詳細は未発表ですが、新型iPhoneでは、有機ELが採用されるとともにホームボタンは、ディスプレー内で表示する方式とし、その分ディスプレーが大型化されるとの観測も出ています。韓国サムスンの新機種「ギャラクシーS8」は、まさにその方向となっています。また、セキュリティー面では、指紋センサーを続けるのか、顔面認証や光彩認証のようなものを取り入れるのかが注目されます。いずれにせよ、今年は「iPhone誕生10周年」ということもあり、例年にも増して期待度は高まっています。ただ、他社が採用済みの技術が取り入れられ最先端とは言いにくい製品となる懸念はあります。もっとも、技術面で安定していて、使い勝手が良ければ、ユーザーからは、安心感のある商品として受け入れられる可能性はあります。それだけに、iPhone8はそれなりの売れ行きが期待できるのではないかともみています。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ゆの・やすたか)
1974年富山県生まれ。95年インプレスに学生アルバイトとして入社。日本初のメール新聞「INTERNET Watch」の創刊に立ち会い、そのまま編集部員となる。2000年に「ケータイWatch」創刊。08年より同編集長。新端末や新サービスなど携帯電話市場の最新動向を日々紹介している。趣味はレーシングカート。