「軟調スタートも、売り一巡後は押し目買いが優勢か」

「軟調スタートも、売り一巡後は押し目買いが優勢か」
 昨日の米国株式相場は大幅安。ダウ工業株30種平均は243.36ドル安の13102.53、ナスダック総合指数は26.49ポイント安の2990.46となった。化学大手デュポンや事務用品のスリーエムなどが業績の下方修正を発表。景気敏感株中心に売りが出て、全体相場を押し下げた。また、iPadミニを発表したアップルの株価が、材料出尽くしから3%以上の下落。相場の足を引っ張った。シカゴ日経平均先物(円建て)は8910円。大証終値と比べて90円安で取引を終了している。したがって本日の東京株式相場は軟調スタートを想定。下値を試すものと思われる。

 一方、外国為替市場ではユーロが下落。1ユーロ=103円台半ばでの推移となっており、国内市場では欧州売上比率の高い電機、精密株に売りが出そうだ。

 ユーロ下落の要因となったのが、スペイン国債の利回り上昇。格付け会社ムーディーズがカタルーニャ州など5自治州を格下げしており、10年債の利回りは5.6%台に上昇。いわゆる危険水準である7%には及ばないが、市場では「EUへの正式支援要請が遅れる」との見方が強まっている。国債価格が下落することで「催促相場」の様相を呈しており、目先はその勢いが優勢となりそうだ。 

 そのような状況下、日経平均の日足チャートでは、窓を空けて下落しそうだ。前日の下ひげを拒否する動きであり、一瞬「相場の弱さ」が鮮明になるだろう。

 しかし、現状では「軸は上向き」であり、売り一巡後は押し目買いが入りやすい。月末の日銀金融政策決定会合までは、金融緩和への期待感が持続することになり、上昇しやすい相場となるだろう。

 だが、再三繰り返しになるが、この一連の上昇相場は“幻想”である。なぜならば「日銀が金融緩和に踏み切れば、株価が上昇する」という投資家の自分勝手な妄想から生まれているからだ。月末の決定会合で「材料出尽くし」、いや「妄想出尽くし」となる公算は大きく、株価は遅かれ早かれ下落基調を強めるだろう。米国では企業業績の悪化が顕著となっており、米株安が日本株の下落を誘発しやすい。年末にかけては税金対策の売りも予想され、売り圧力が一段と強まりそうだ。日経平均は上昇してもせいぜい9300円。下手すれば本日の下落を契機に“腰折れ”してしまうかもしれない。そんな脆弱な相場なのだ。買い方が腰を据えて、中長期で投資する時代は当分来ないのである。(黒岩の眼、朝刊より)