「9075円の壁との攻防、軸は上向きだが・・・」

「9075円の壁との攻防、軸は上向きだが・・・」
 昨日の米国株式相場は小幅反発。ダウ工業株30種平均は26.34ドル高の13103.68、ナスダック総合指数は4.42ポイント高の2986.12となった。朝方は前日の急落の反動もあり買い先行となったが、その後は企業決算や経済指標がさえず、上昇幅を縮小させた。引け後にはアップルとアマゾンが決算発表をしており、それぞれ失望売りから株価は下落。時間外取引でアップルは2%安、アマゾンは7%安となっている。シカゴ日経平均先物は9070円付近での推移。したがって本日の日経平均はもみ合い相場からのスタートを想定。前日終値近辺で寄り付くと思われる。

 現在のマーケットは、「日銀の金融緩和期待VS米企業決算の悪化」という構図だ。せっかく日本株が金融緩和期待で上昇しても、米国株が下落して日本株の足を引っ張っているのだ。それでも昨日の日経報道のように「10兆円」という具体的な数値が出てくると、投資家は敏感に反応する。「10兆円が確実なら、さらに上積みもあるのではないか」とさらなる期待を寄せてしまうのである。市場は期待に満ち満ち溢れており、現在は飽和状態だ。米国株の軟調な動きでやや冷や水を浴びせられているが、市場内部は“やる気まんまん”である。「日銀よ頼む!20兆円と言ってくれ!」――そんな感じになっているのだ。

 だが、そんな期待は見事に打ち砕かれることになるのだろう。そもそも日銀が金融緩和しても金融市場にお金が滞留し、バブルを醸成するだけだ。結果、実体経済と金融市場の乖離が広がり、最終的にはバブルが崩壊する。過去にそれを何度も経験しており、学習しない方がおかしい。自民党の石破幹事長の言葉ではないが、マーケット参加者は「学習効果ゼロ」なのである。いつも同じ失敗を繰り返しているのだ。

 そして先ほど9月の消費者物価指数が発表された。生鮮食品を除く総合が前年同月比で0.1%下落。デフレがまだ続いているというわけだ。日銀が目標としている物価1%上昇を見通せるものではなく、これも金融緩和の材料とされるだろう。

 しかし、マーケットとしては昨日の日経報道で「10兆円」は織り込んでいる。さらなる上積みがない限り、上方向では反応しづらく、そろそろ時間切れとなりそうだ。10/30(火)の日銀金融政策決定会合では完全に“材料出尽くし”となり、軸は明確に下向きに傾くだろう。

 そのようななか、日経平均の日足チャートでは9075円のテクニカル壁との攻防となっている。昨日のイブニングセッションの動きからは完全に上抜けたと思われたが、米国株の予想外の軟調さで、日本時間の朝方にはこの壁付近での推移となっている。分水嶺に位置しているようなものであり、どっちに転ぶか分からない。もし、この壁の突破に失敗した場合には、いったん下方向を試す可能性が高くなる。逆に突破した場合には一気に上昇スピードが加速しそうだ。

 現時点では軸上向きであることから、ちょっとしたきっかけで上ブレする公算が大きい。売り方は先走って売りポジションを積み増すことのないよう注意をしたい。

 そして本日の日経一面では日本郵政が15年秋にも上場すると報じられた。まずは傘下3社の持ち株会社である日本郵政の上場となり、これによって国は最大で7兆円の収入を得るという。税収不足のなか、国有資産売却によって収入を得ようという魂胆だが、実際にはその半額の3.5兆円程度しか収入が得られないとの見込みもある。すべてはマーケット次第ということになるのだが、問題の本質はそこにあるのではない。

 そもそも郵政民営化は売国首相小泉氏の肝いりで行われた。その最終目的は日本郵政のお荷物である郵便事業を切り離し、多額の資産をもつゆうちょ・かんぽを外資に売り払うことだ。そしてゆうちょ・かんぽのもつ日本国債を米国債に振り替え、米国の財政危機を救うことにあった。だから、日本郵政が上場するということは、そのステージに一歩近づいたことになり、日本国民としては警戒しなければならないのだ。国債暴落にもつながる出来事であり、注視しなければならないのである。傘下のゆうちょ・かんぽの株式売却――そんな動きが出てきたら、「国債暴落=ギリシャ化」という流れも十分にあり得る。