懐かしい名前 「ジョージ・ソロス」

「イングランド銀行に勝った男」
今でもときどきその名前を目にし、コメントを読むことがある「ジョージ・ソロス」氏ですが、このエントリーを読まれている方のほとんどにとっては「著名投資家」で「過去の人」というイメージではないでしょうか。

私自身、残念ながらソロス氏と会ったことも話したこともありませんし、彼のファンドの取引を、それと認識した上で受けたこともありません。しかし、90年代に「イングランド銀行に勝った男」として一般的に名前を知られるようになる前から、為替市場関係者の世界では世界有数のファンド・マネージャー(オーナー)として有名でしたので、そのころからもう20年以上その名前を知っていることになります。90年代前半はソロス氏のクォンタム・ファンドをはじめとして、いくつもの巨大マクロ系ファンドが為替市場で大きなポジションを取っていましたので、その動向は市場関係者の注目の的でした。

そのソロス氏が英FT紙に寄稿した文章が話題になっています。

ソロス氏はドイツに対し、欧州共同債や、銀行同盟などに関して反対の立場をとっていることを批判しています。彼は、ドイツが、財政統合や銀行同盟の前に政治統合が必要という非現実的な目標を掲げる一方、スペインやイタリアがこれ以上の市場の圧力を受けないようにすることを目指した提案を拒んでいる、と述べています。
ソロス氏は、今週木曜金曜に行われるEU首脳会合で、ドイツが頑な態度を取り続け、思い切った対策を打ち出すことができなければユーロの崩壊につながりかねない、としています。

昨日メルケル独首相は、あたかもソロス氏の呼びかけに答えるように、昨日の講演で「「ユーロ共同債、共同証券、欧州預金保険は、経済的に間違っているし非生産的だ」「ドイツの憲法にも反する」「木曜のサミットでの協議では、債務の共有化に関する構想についての話があまりに多く、一方で監視の改善や構造的措置については議論が全く足りないという状況に陥るのではないかと懸念している」と述べていて、フランスなどとの対立姿勢を崩していません。

メルケル首相の発言を受け、今週のEU首脳会合では、スペインの銀行と昨日支援要請をしたキプロスの支援が決定されるだけで、新たな危機対策は何も出てこないのでは、との見方が強まっていることがユーロ売りの大きな原因になっています。

現在は投資家としての活動の一線からは退いているソロス氏ですが、90年代であれば、このような発言をする代わりに、数10億ユーロというような巨大なユーロ売りを仕掛けていたことでしょう。