【ドル&GOLD】米雇用統計でもドル安・金相場上昇の流れ変わらず

日銀の1%のインフレ目標達成時期は見えず
ドル/円相場は、概ね9月の中心レンジ(77.50~79.00)内で揉み合う展開が続いている。10月5日に発表された9月米雇用統計が市場予測を上回ったことでドル買い・円売り圧力が強まる場面も見られたが、78.87円までの戻りが精一杯だった。今週は逆にドルの戻り売り圧力が強まり、78円台前半まで値位置を切り下げている。

9月米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比+11.4万人と市場予測(+11.5万人)を僅かに下回ったが、8月分が速報の+9.6万人から+14.2万人まで4.6万人もの大幅な上方修正されたことが好感されている。失業率も前月の8.1%から7.8%まで急低下し、オバマ大統領が就任した2009年1月以来の最低値を更新している。

これを受けて、マーケットでは量的緩和第3弾(QE3)の早期終結観測が膨らみ、ドルが買い戻される一方、金相場が急落した。ただ、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「緩和解除を急がない」方針を鮮明にする中、これが継続的なドル高・金相場下落トレンドを形成するような材料とは考えていない。

そもそも今回の失業率低下は、失業者がパートタイム就労などの一時的な雇用確保を優先した結果であり、見掛けの数値程にポジティブなものではない。実際、パートタイム就労を余儀なくされた労働者や職探しを諦めた人を含む広義の失業率は14.7%と一向に低下していない。

こうした状況を考慮すると、米金融政策見通しに修正を迫るような内容ではなく、ドルの戻り売り・金相場の押し目買い基調には何ら変化は生じていないと考えている。世界経済の先行き不透明感や欧州不安の蒸し返しを受けて、今週は米国債への退避需要が米金利を押し上げている。ただ、米国のQE政策と異例の低金利政策が長期化するとの見通しに修正を迫ることは難しく、ドルサイド主導でドル高・円安方向に振れるリスクは限定的とみている。

一方、円サイドでは、白川日銀総裁が5日の記者会見で、追加緩和を行った先月の決定会合で「景気・物価の基本的なシナリオを明確に下方修正した」と発言している。これを受けて、10月末に公表される展望リポートでは物価・インフレ見通しがともに下方修正されることが避けられず、11月19~20日の次回会合で日銀が更に追加緩和措置に踏み切る可能性が浮上している。

もっとも、「当面1%」の事実上のインフレ目標達成への道筋が描けない中、これに伴う円安(ドル高)圧力は一時的なものに留まろう。仮に2ヶ月連続の金融緩和で円が売られる場面があれば、ドルの戻りを売り込む好機になるとみている。戻り目処は、一目均衡表の雲がある78.63~79.26円になる。