「楽観論で上昇も、危機の火種は増加」

「楽観論で上昇も、危機の火種は増加」
 先週末の米国株式相場は大幅高。ダウ工業株30種平均は172.79ドル高の13009.68、ナスダック総合指数は40.30ポイント高の2966.85となった。年末商戦が好調と伝わったほか、ギリシャ融資に向けてIMFがやや妥協。ユーロ危機に対する警戒感が和らぎ、主要株価指数は軒並み上昇となった。外国為替市場では円安が進行。1ドル=82円台半ば、1ユーロ=106円台後半での推移となっており、東京市場でも買い安心感が広がりそうだ。また、シカゴ日経平均先物(円建て)は9430円付近での推移。したがって本日の東京株式相場は買い先行の展開を想定。引き続き上値を試すものと思われる。

 先週末の日経平均は、窓を空けて上昇。ローソク足では下ひげが出現しており、一気に上値を試す展開となっている。達成感が出ない形で上昇しており、「次の窓」を目指すことになりそうだ。もちろん目標となるのは9800円台の窓であり、ここから450円程度の上昇余地がある。かなりの大相場になる可能性があり、売り方は注意が必要だ。

 「窓・壁・軸理論」では完全なる軸上向き相場。下方には価格帯別出来高のヤマが位置しており、需給面で下支え役となっている。買い一巡後はいったん上値を抑えられるかもしれないが、その後は断続的な買い注文が入ってくるだろう。大きな流れに変更はなく、株価は上値を試すものと思われる。

 上昇相場の背景になっているのは、繰り返しになるが安倍発言である。一部「日銀の国債直接買い取り」に関しては否定したものの、基本的な路線は“緩和”だ。日銀に対して必要なプレッシャーをかけ、市場にマネーを供給させる。それによって物価上昇率3%を目指し、再来年の消費税増税8%を確実にするというものだ。国内投資家のみならず海外投資家からも期待が高まっており、相場を押し上げる要因となっている。

 ただ、そんな脳天気な上昇相場ではあるが、危機の火種は着実に増えている。中東情勢に関して言えば、イランのアフマディネジャド大統領がパレスチナとの共闘を宣言しており、停戦合意が破られる可能性がある。パレスチナが発射しているミサイルはイラン製との報道もあり、さらに過激な報復合戦が開始されるかもしれないのだ。

 また、ユーロ危機に関していえば、ドイツ連銀のバイトマン総裁が「ギリシャ債務は持続不可能」とサジを投げている。本日のユーロ圏財務相会合ではギリシャ支援が正式決定する見通しだが、今後も紆余曲折が予想される。スペイン・カタルーニャ州の議会選挙も、独立派が過半数を確保する模様。スペイン危機が再燃する可能性が高く、今後の動きには注意が必要だ。

 一方、国内要因としては、格付け会社フィッチがソニー(6758)、パナソニック(6752)を「投機的水準」に格下げした。日本を代表する企業の足下がグラついており、個別銘柄に対しては実需の売りが出てきそうだ。「指数は上がるけど、個別はメタメタ」――そんな展開も予想されるのである。

 市場は一方的に楽観論に傾いているが、かなり危うい相場である。何か不測の事態が発生すれば、すべての積み木が一気に崩れることになる。売り方は「軸下向きのサイン」を見逃すことなく、売り攻勢の場面をじっくりと待ちたい。