日米ともに緩和圧力強まり、金の投資環境は一段と強気に

ドル/円は短期的な調整リスクに要注意
ドル/円相場は84円水準まで値位置を切り上げ、今年の最高値を更新しました。

11~12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年末に期限切れを迎えるツイストオペの代替策として、毎月450億ドルの米国債購入が決定され、実質的な資産購入拡大が決定されています。ただ、異例な低金利政策については、従来の「2015年半ばまで」という時間軸が、「1)失業率6.5%割れ」か「2)インフレ率見通しが2.5%を上回るまで」という経済指標とのリンクに修正されたことで、ドル相場に対する影響は限定されました。

ドル相場にとって、ドルのマネタリーベース拡大の動きは加速することはネガティブですが、失業率6.5%割れでの利上げという「出口」戦略を意識させる動きが見られたことが、逆にポジティブと評価する余地を生み出したとみています。

もっとも、ドル/円相場に関しては引き続き円サイドの動向が最大の関心事であることに変化はありません。総選挙では自民党が圧勝し、公明党とあわせて衆院での再可決に必要な3分の2以上の議席を確保しています。

これによって、これまで自民党の安倍総裁が主張してきた脱デフレ・脱円高戦略は強力な推進力を得た形になり、その進捗状況を確認しながら更にドル高・円安を進める展開が続く可能性が高い情勢です。

もっとも、IMM通貨先物市場では大口投機筋のドル買い・円売りポジションが07年7月以来で最大の規模に到達しているため、短期的には材料出尽くし感からドル売り・円買い圧力が強まるリスクに注意が必要です。19~20日の日銀金融政策決定会合では追加緩和期待が強くなっていますが、ここで更にドル買い・円売りを進める動きが見られなければ、円買い戻しの動きが膨らむ可能性も想定しておく必要があるでしょう。一時的には、82~83円水準までの押しも想定しています。

一方、日米の金融緩和スタンス強化は、金相場に対しては素直にポジティブ材料になります。量的緩和第3弾(QE3)の強化に加え、日銀もマネタリーベース拡大の動きを本格化させれば、ペーパー通貨と逆相間の関係にある金相場は一段と買われ易い地合になります。「無制限に供給されるペーパー通貨」と「年間供給量に制限のある金」との違いが、一段と顕著になるでしょう。

足元では、米財政協議を巡る先行き不透明感から、年末に向けてポジション整理を進める動きが優勢になっています。ただ、金相場のファンダメンタルズそのものは明確に上昇相場を支持しており、来年の上昇相場に向けての買い場になるでしょう。あくまでも財政協議がパニック化しないことが前提になりますが、1,700ドル割れは物色妙味が大きいとみています。