「上値模索継続、上方の大きな窓埋めへ」

「上値模索継続、上方の大きな窓埋めへ」
 先週末の米国株式相場は小幅高。ダウ工業株30種平均は43.85ドル高の13435.21、ナスダック総合指数は1.09ポイント高の3101.66となった。米雇用統計は市場予想通りだったものの、「財政の崖」回避から楽観的なムードが台頭。投資家の不安心理を示す恐怖指数(VIX指数)も低下し、市場には安心感が広がった。

 また、外国為替市場では円安が進行。1ドル=88円台、1ユーロ=115円台での推移となっている。シカゴ日経平均先物(円建て)は10775円付近。したがって本日の東京株式相場は買い先行の展開を想定。引き続き上値を試すものと思われる。

 日経平均の日足チャートでは先週末、再び窓を空けて上昇。昨年末に窓理論で売りサインが出現したものの、それを早くも一蹴する形となっている。完全に「軸は上向き」ということであり、目先は上値模索の動きが継続。上方の窓を連鎖的に埋めることが予想され、10年5月6日に発生した大きな窓(10891.60円―11035.27円)を目指すことになりそうだ。

 ただ、このお祭り騒ぎもそう長くは続かないだろう。なぜならば、安倍政権の圧力を受けた日銀の態度が不鮮明だし、2月末には再び米「財政の崖」が訪れる。今度は連邦債務上限引き上げ問題という“お友達”を連れてくることになり、緊張度合いが一段と増すのだ。国内投資家、証券会社などは「安倍相場」に浮かれているが、着実にその危機は迫っているのである。

 今の相場で問題なのは、投資家が国内にしか目を向けていないということ。安倍政権の打ち出した金融緩和策、景気対策だけをみて、一方的に株高・円安を進めているのだ。

 しかし、為替相場に関していえば、これはあくまでも「相対論」。相手がある話であり、当然米国や欧州の状況も把握する必要がある。

 たとえば米国の場合、今回の「財政の崖」回避で、財政赤字の削減目標の半分も達成することができなかった。つまり、残り1兆3000億ドル分を国債発行に頼らざるを得ず、その分、米国債に対するリスクが増しているのだ。

 今はQE3及びその後に打ち出された国債買い取りスキームによって長期金利の安定が保たれているが、これは必ず爆発する風船を膨らませているようなもの。最終的には国債バブルが弾けることになり、米ドルは一方的に売られることになるだろう。その場合、持続的な円安が望めるわけもなく、為替相場は一転して円高・ドル安方向で動き出すことになる。現在、積み上がっているシカゴ投機筋の円売りポジションの巻き戻しが発生し、一気に円高が進むに違いない。「あの円安は何だったのか?」――いずれそういう日が訪れることになるのだ。

 だから投資家はこの上昇相場を懐疑的に見ていなければならない。調子乗って買いポジションを積み上げていくと、いつかハシゴを外されることになるのだ。

 毎回同じことを言うが、市場には「相場観の慣性の法則」というものが働いている。上昇してくるともっと上昇する思い、下落してくるとさらに下落すると思ってしまうのだ。こうやって一般投資家はヤラれてきた。結局は往復ビンタを食らうことになり、その資産を減らしてきたのである。相場が致命的な大敗を食らわないためには、最悪、この往復ビンタを避けなければならない。いずれ下落する相場であるならば、ここはジッと耐え、売り場を探すのが賢明な投資家であると言える。「安倍相場は所詮安倍相場」――単なる口先介入であり、何ら実態が変わったわけではない。日銀が少しでも安倍政権に抵抗することになれば、そのバブルはあっと言う間に弾けることになる。どこまで上昇するか分からない相場ではあるが、ナナメ45°から見る姿勢が重要だろう。今は死刑執行台の階段を着実に上がっているだけの話だ。