今週のドル/円相場は、9週連続のドル高・円安を達成

リスクテイクの地合を背景に、ドル/円は一段高か
2013年1月第2週のドル/円相場は、前週比で1.03円のドル高・円安となった。高値は89.45円に達しており、約2年半ぶりの高値を更新している。

安倍政権の経済政策、日本銀行の金融政策が大きく変わるという、いわゆる「アベノミクス」に対する期待感が、引き続き大きな材料となっている。昨年12月26日に政権が発足したが、1月11日には事業規模20.2兆円にもなる緊急経済対策が閣議決定され、今年度の補正予算や国債追加発行額などについても、極めて早いペースで具体化の動きが進んでいる。

総選挙での脱デフレ・脱円高の実現性を疑問視していた向きにとっては、予想外とも言える良好なスタートダッシュであり、為替・株式市場ともに材料出尽くしとの見方は何度も裏切られている。トレンド転換の余地は、現時点では余り大きくない。

目先は1月21~22日の日銀・金融政策決定会合が焦点になるが、基金の増額を軸に、そこにプラスアルファを示すことができるのかが問われることになる。特に、安倍総裁が政府と日銀との共同文書で物価上昇率目標2%の明記を求める中、総裁記者会見などで安倍イ政権との共同歩調を示すことができるかが重要な焦点になる。昨年2月の脱デフレ期待は、日本銀行自らが緩和効果を否定するという最悪の展開を招き、結果的に円高路線への回帰を促してしまった。しかし、ここで「日銀も変わった」との心証をマーケットに抱かせることに成功できれば、90円台確立の方向になる。来週は、マーケットでも様々な思惑が交錯することでボラタイルな展開になり易いが、円売りプレッシャーの排除は容易なことではないだろう。

一方、これから米企業決算発表が本格化することで、市場参加者にリスクテイクを継続できる相場環境を提供し続けることができるかも重要である。欧州債務問題、米財政問題、中国の景気減速問題など、2013年も世界経済のボトルネックになると予測される幾つかの問題は、少なくとも当面は回避される方向になっている。

米株式相場は今週も戻り高値更新を継続しており、いよいよ昨年の高値更新も視野に入り始めている。こうした中、債券から株式への大きな資金シフトの流れが継続すれば、円高是正の動きも継続しやすい。まだ2月には米連邦債務の上限引き上げ問題、財政再建策の策定といった問題も控えているが、少なくとも1月のマーケットでこうしたリスク要因が直ちに顕在化する可能性は低い。

円サイドからドル高・円安にブレーキを掛ける要因が乏しいことを考慮すれば、リスクテイク先行の流れを背景にドル/円相場も一段高を試す展開がメインシナリオになる。

そして、これは、10日に1982年の上場来高値を更新した東京金先物相場にとっても、追い風が継続することを意味する。誰もが考えていることは同じだが、まだオーバーシュートの懸念が市場を支配するには至っていない。11日に日本経済新聞社と日本経済研究センターが開催した景気討論会で、次期日銀総裁の有力候補とされるアジア開発銀行(ADB)の黒田総裁は「円はまだ若干過大評価されている」と指摘していることなども確認しておきたい。